「日産フェアレディZ」が1969年に誕生してから、昨2019年に50周年を迎え、現在までに世界での販売累計180万台(北米だけで130万台)に達しているが、つい先日の9月16日に新たに「フェアレディZプロトタイプ」が発表された。
フェアレディZプロトタイプ(日産自動車株式会社グローバルサイトより)
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日産のグローバルデザイン担当専務執行役員であるアルフォンソ・アルバイサ氏いわく「今回のフェアレディZプロトタイプのデザインは初代とそれ以降の代の良い点を随所に意識しているが、特に初代フェアレディZへのオマージュを織り込みながら、過去から未来へと時代を超えるデザインとした。」

その初代「日産フェアレディZ」が51年前に登場したときの姿が次の写真
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◎初代フェアレディZデザインの松尾良彦氏、逝去
初代フェアレディZのデザインを語る際に必ず名前が登場するのが松尾良彦氏だった。しかし今年2020年7月11日に87才(一部ネット上で86才の誤記複数あり)で肺炎によりご逝去された。(1933.7.10―2020.7.11)
松尾良彦氏 (2019年、Z生誕50周年記念トークショーより)
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写真はhttps://news.mynavi.jp/article/20200719-1163468/より引用

氏は1959年に日産自動車に入社。第一造形課・第四スタジオで1969年に発売の初代フェアレディZのデザインを生み出したチームのチーフだった。
当時、日産のデザイン部門は国立の東京藝術大学や千葉大学工学部デザインコース出身者で占められていた中で、氏は日本大学芸術学部出身だが”子供の頃からクルマ大好きで、クルマをよく知っているデザイナー”として存在感を示していた。
↓当時の第一造形課・第四スタジオでの松尾氏
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写真はhttps://news.mynavi.jp/article/20200719-1163468/より引用

フェアレディZの世界的な大ヒットにより、会社からご褒美の欧州旅行など貰ったが、1974年に退社して”デザイン設計オフィス”を設立。以後は幅広い分野の製品デザインをする一方で、自動車デザイン評論家としても雑誌などで活躍された。(私は、テレビ出演された氏を拝見したこともある。)

◎松尾氏の一面を私は見た!
今から35年くらい前に私は氏と少しだけお付き合いした期間があった。氏との初対面は、ある機関の主催でドイツ・ケルンで開催の欧州家庭用機器の見本市視察を主目的としたツアーに参加した際の同行メンバーとしてであった。この見本市会場は広大で展示機器の種類は多岐にわたり、その数が膨大なので、ここだけでの視察日程は4日間も設定されていた。その視察3日目になって、松尾氏は「私は今日これからオランダの〇〇〇に行ってヨーロッパの大型バス・トラックのショウの見学をしてきますよ」と言って別行動。このように氏のエネルギッシュな面は、その言動だけではなくお顔にも現れていたのが印象的だった。

そして帰国後しばらくして氏から私に電話があり「実はウチで使っている掃除機は〇〇(私が勤務する会社名)製なのですが、長年使っていてモーターのカーボンブラシ※がすり減ってしまったようで最近調子が悪くなってきたのです。修理に出してその間に掃除機が使えなくても困るので部品さえ手に入れば自分で部品交換したいので機種名△△用のカーボンブラシを手配してもらえないだろうか」とおっしゃる。一般の人でそんなことをするのは聞いたことがなかったので驚くと同時に、氏がそこまで我が社製品を愛用して下さるのならと、私もこれに応じてカーボンブラシを用意して、来社された氏に手渡しした。(部品代は数百円) その際に氏は今はヨットの部品をデザイン中とおっしゃっていた。

この一件で、松尾氏は”単に形や色を追うデザインではなく、モノの構造や機能を十分に把握して、自分でモノを作ってしまうというマインドをもって総合的にデザインをする”、言わば“ものづくりを本当に知っているデザイナー"なのであろうと、私は強い印象を受けた。

◎夢を追い続けた松尾良彦氏!
晩年はデザイン事務所はたたんだが、日米各地で開催のフェアレディZのファンの集いなどに呼ばれたりして精力的に参加していた。そんな中で2014年には、米国の熱狂的フェアレディZフアンが企画した”初代フェアレディZをスポーツワゴン化するプロジェクト”が立ち上がったが、このスポーツワゴンバージョンは松尾氏自身が現役時代に構想した一つの形態だったので、当時すでに80才を超えていたが頼まれた監修役を喜んで受けたのだった。
『このプロジェクトの監修にあたり、松尾氏はロサンゼルスの工房を度々訪れては、スケッチを描いたり、製作者へのアドバイスを行った。↓
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実車が完成し、サンディエゴで開催されるフェアレディZ の集いでお披露目された瞬間には松尾さんの晴れやかな笑顔があった。 これは松尾氏の夢がまた一つ実現した瞬間だった。
↓完成した初代フェアレディZのスポーツワゴンを前に充実した笑顔の松尾氏(中央)。右は、松尾氏が描いたスケッチを元に初代フェアレディZ・スポーツワゴン プロジェクトを完遂させたロサンゼルスの「JDMカーパーツ」代表の安宅二弥氏。左は、同プロジェクトをサポートした、ダットサンフリーウェイ代表の畑中雅博氏。』
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(『』内は写真も含めhttps://news.mynavi.jp/article/20200719-1163468/より引用、一部割愛)
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以上の参考サイトはhttps://news.mynavi.jp/article/20200719-1163468/および
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※カーボンブラシ:モーターは目的・用途によって多種あるが、小型でパワーを要するモーターにはカーボンブラシと呼ばれる部品を使ったものが利用され、その用途の一つが電気掃除機用。この種のモーター使用の電気機器類は下記の表を参照下さい。
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電気掃除機(東芝ライフスタイル(株)製)のモーター内部のカーボンブラシの写真
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表及びモーター写真は(株)富士カーボン製造所のHPより引用
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