前回のブログで 私と小・中学校で同級だった榊原栄という音楽家について綴りましたが その彼が中学時代に所属していたブラバン(ブラスバンド部=吹奏楽部)はマーチ(行進曲)演奏が主体でしたが それ以外のジャンルもたまにありました 

ある年の吹奏楽コンクール用(課題曲だったか?)に演奏した曲が・・

◎フィンランディア
この曲はフィンランドの作曲家シベリウスの作 彼がある歴史劇の伴奏曲を依頼されて1899年に作曲した組曲の中の最終曲部分を1900年に独立させて「フィンランディア作品26」と命名されたもの

この曲が書かれた頃のフィンランドは「フィンランド大公国」とは名乗っていたものの 東側の国境で接する隣国ロシア帝国の支配下にあって 国民の多くが不満を抱えていた

その不満を表し 爆発させるように感じるこの曲は 出だしが”怒りを押し殺したような”暗く重い表現 そして中ほどでは金管楽器による「パッパラパパ パッパラパパ・・」と攻撃的な感情表現(金管楽器によるこの表現部分があるから 吹奏楽コンクールの課題曲になることが多かったのだろうか 今回調べたら他の方も この曲が課題曲だったと述べている)

過激でフィンランド人の愛国心を鼓舞する表現ゆえにロシアはこの曲の演奏を禁止してしまったほど

→フィンランディア演奏
https://www.youtube.com/watch?v=D8DxmUutTgc


このフィンランディアができた1900(明治33)年からまもなく 遠く離れた東洋で日露戦争が起こったのだ(1904年開戦~1905(明治38)年終戦)

◎東郷元帥肖像がラベルのビール確かにあるが・・
従来 巷では「フィンランドは圧政をしいていたロシアを日露戦争で破った日本に対して親日的であり その戦争の中でも有名な
"日本海海戦"で連合艦隊を率いてロシアのバルチック艦隊を壊滅させた東郷元帥を称えて『東郷ビール』をつくった」というような話が流布されていて 

私も最近までそう信じていたので 20年ほど前に『東郷ビール』を あるデパートで見つけて数本購入 内1本(空ビン)を今でも保存している

togo-beer (2)
これが私の保存している東郷提督ラベルビール瓶


しかし このブログを綴るにあたって 調べたところ その巷の話は間違いだったことが判明した

真相は・・このビールの名前は「AMIRAALI=提督」であり 世界中の歴史上有名な提督を24人選んで その各人別のラベルをつけたビールが作られた その内の一つが東郷平八郎元帥の肖像画入りラベルのビールというわけだ

フィンランドのピューニッキ社が1970年にこの提督ビールシリーズを製造開始して 東郷ラベルのものは翌1971年からの製造 その後この提督ビールシリーズの製造は別のいくつかの会社に受け継がれて 途中に製造停止期間もあったりしたものの 現在も続いているそうだ

おもしろいことに製造停止期間中に 日本の「日本ビール株式会社」がオランダ産のビールに東郷元帥の肖像画入りラベルを貼ったものを輸入販売していた 実は私の手許に残しているモノがこのオランダ産である 現在は日本産もあるそうだ
 
◎フィンランドはバランスとる国なので「親〇〇国」にはならない!
日露戦争で(フィンランドと国土面積がほぼ同じ小国)日本が勝利した際には 勇気づけられた人もいたが 「ロシアが負けて悲しい」と嘆く婦人 ロシア側の将校となって日本と戦った者もいた

1917年にロシアから独立の直後の内戦では社会主義信奉者の「赤軍」と それを嫌う「白軍」が戦い「白軍」が勝利して バランスとは無縁の一党独裁のみちを避ける選択をした

24人の提督ビールシリーズの中には 東郷元帥以外には山本五十六元帥も含まれ日本人二人がいるが ロシアのマカロフ提督 ロジェストヴェンスキー提督の(ともに日本海海戦で日本相手に戦った)二人もしっかり入っている 他には英国ネルソン提督など

EUに加盟しながらもロシアとの関係にも留意している 国内には「レーニン博物館」や「アレクサンドル2世(ロシア皇帝)の像」「アレクサンドル通り」が存在する

このように一方の国に偏らない姿勢でバランスをとるので・・フィンランド(正式名:フィンランド共和国)に居住経験のある日本人でも同国が親日的と感じたことはないと言う

ただし言語の構成的には「膠着語(こうちゃくご)」(私には難しいことはわかりませんが)に分類されるとして 日本語 フィンランド語 トルコ語 朝鮮語 などは同類とのこと

(東郷元帥ラベルビールやフィンランド事情について詳しくは・・
https://historivia.com/togo-heihachiro/4207/
 suomi.racco.mikeneko.jp/Elama/ystava.html
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