◎ジェネリック家具とは?
前回のブログで テレビドラマに出てきた有名な椅子の名前と およその価格をご覧いただきましたが 同じ椅子でも価格に大きな差があることを示しました その原因は「ジェネリック家具」と呼ばれるモノの存在があるからです
「ジェネリック家具」は以前にはリプロダクト家具や復刻家具などと呼ばれていましたが・・ある元祖(オリジナル)デザインの家具が誕生してから年数が経って その意匠権(権利期間は日本は20年ですが各国により10年~25年と異なります)や 特許権が消滅した場合に それとそっくりに作られた家具のことです
ただし その元祖デザイン家具と比べて・・「製造方法」「使用素材・表面処理」「製造場所(国・地域)」などの点でちがいが出るので「同じ椅子でも価格に大きな差が出る」ことになるわけです 具体的には・・ 牛革素材を人工皮革に変える・皮革の厚さを薄いものにする / クッションの中身を羽毛からポリエステル綿やウレタンフォームやポケットコイルというスプリングに変える / パイプフレームを「鉄にクロムメッキしたもの」からステンレスを磨いたもの」に変える / イタリアで製造していたものを中国で製造する / 表面に出ない部分の構造を簡略化する・・など
これらの変更を各ジェネリック家具メーカーがどの程度行うかによって コスト削減額に差が出て 同じような商品で価格の巾がでるわけです
「ジェネリック家具」という呼び方はジェネリック医薬品の呼称が浸透してきたから登場したことは明らかですが・・医薬品の場合はジェネリックであっても元の(先発の)医薬品と比べて成分や効能は変わらないかほぼ変わらない・・という点が家具の場合と違います
つまり大まかに言えば・・「ジェネリック医薬品」は・・外観・形状は違っても 中身は同じ/「ジェネリック家具」は・・外観・形状は同じでも 中身は違う・・ということになります
◎ジェネリック椅子の代表はル・コルビュジエの作!
現在 日本で出回っている外国デザイン家具のジェネリック物で目立つものがいくつかあるのですが その代表的なものが・・
近代建築設計の巨匠ル・コルビュジエ氏(日本の国立西洋美術館も設計)がデザイン※した椅子「グランコンフォート」(「大いなる快適」という意味)でしょう
その完成されたシンプルな構造とフォルムで1928年に初登場してから丁度90年を経過した今でも変わらぬ魅力があることが人気理由でしょう
※この椅子を含めて「コルビュジエ作」とされる家具デザインの大部分は実際は氏とその従兄弟であり建築のパートナーでもあるピエール・ジャンヌレとシャルロット・ペリアンとの3人の共同作業で生まれました
「グランコンフォート」の椅子たち・・「水平と垂直」の「線と面」で構成したデザインです(写真はカッシーナ・イクスシー社のHPより)
◎この椅子「グランコンフォート」はTVのドラマやCMに度々登場しています!
例えば・・ドラマ「黒革の手帳」の中で / 小泉孝太郎が出ている住宅メーカーのCMの中で / 何のドラマかCMかで見たか覚えていないのですが・・木村拓也が座っているシーンや ビートたけしが座ったシーンで / 有名人のお宅訪問番組では岩城滉一邸にも置かれていました
それに小規模病院や歯科医院など「クリニック」の待合室に置いてあるのを見かけますので なぜかお医者さんは この椅子がお気に入りのようです
↑東京・池袋の「ハルデンタルクリニック」(屋外から待合室のグランコンフォート3脚を見る)
その他 東京・文京区の「ゆしまクリニック」の待合室でも見られます
この椅子のジェネリック化は発展して・・オリジナル色の黒の他に 白 灰色 赤 オレンジ 茶色 こげ茶色 ネービイブルーなど多様な色も登場してきました また 金属フレーム部分を一部形状を変えてオリジナル品より座り心地を改良しようとしたと思われるものが登場・・それが前回ブログでも掲載しました"NHK朝ドラの「半分青い」の中の秋風羽織先生のオフィスの赤い椅子”です
(背もたれ部分は高く伸ばした上で後ろに傾斜)
◎こんなに違うグランコンフォートの価格!
この椅子は「一人掛け用」「二人掛け用」「三人掛け用」の3種あり そのジェネリック製品は 主にイタリアと中国メーカーの併せて数十社それぞれの会社方針に基づいて オリジナルに忠実で高価なものから 徹底的に低価格なものまで 多様な仕様の製品が登場しています
以下にその価格例をあげてみます(税込価格/一部除いて送料込価格)
「一人掛け用」72万3,600円~15万2,228円~2万0,800円(約35倍のひらき)
以下にその価格例をあげてみます(税込価格/一部除いて送料込価格)
「一人掛け用」72万3,600円~15万2,228円~2万0,800円(約35倍のひらき)
「二人掛け用」114万4,800円~24万6,000円~2万9,900円(約38倍のひらき)
「三人掛け用」164万1,600円~31万0,000円~10万4,480円(約16倍のひらき)
◎「ジェネリック家電」というものもあります!
ジェネリック家電とは大手以外に存在する優秀な準大手や中堅の電器メーカーが大手メーカーの旧技術を購入利用した上で 必要機能を絞り込んで製造した低価格の家電製品のことです・・結果として総じてシンプルデザインの製品が多いものです
ジェネリック家電がジェネリック医薬品と違うのは・・ジェネリック医薬品が大手医薬品メーカーの旧技術をそっくり利用して機能(効能)も同じにしているのに対して・・
ジェネリック家電は大手メーカーの旧技術を利用するものの 機能は必要最小限に削減して抑えている点です
「以前は 日本国外メーカーの低品質の家電製品と一緒にして「B級家電」と呼ばれていた状況を流通ジャーナリストの近兼拓史氏が憂いて、粗悪なB級家電と、大手に劣らない高品質低価格の優良家電を明確にわけるために2013年に作った和製造語です
毎年度末に、その年度中に発売されて最も優秀だった製品に「ジェネリック家電大賞」が与えられ 2015年には、近兼拓史氏を代表理事として、非営利の業界団体である・・一般社団法人ジェネリック家電推進委員会が設立されました」(「」内はWikipediaより)
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