先日テレビで紹介されたある楽器。それは音楽関係の方なら珍しくもないのでしょうが私としては実に数十年ぶりに聞く名前だった。・・それが・・

◎「ツィンバロン」!
現在NHKテレビで放送中の「大河ドラマ『べらぼう』のタイトル画面が現れると同時に流れるオープニングテーマ曲の初めの10秒間くらいによく聞こえるのが「ツィンバロン」という楽器の音です。」・・と、同じNHKの別番組「ひるまえ ほっと」の中で紹介された。

→タイトルと同時にツィンバロンの音から始まる曲:
https://www.youtube.com/watch?v=CQkMDSWltOI

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「ツィンバロンはハンガリーの民族楽器で135本の弦を2本のバチで叩いて音楽を奏でる”打弦楽器”。ということは音を出す基本のカタチはピアノと同じで、ただピアノは鍵盤を介して弦を叩くところが違う。

ツィンバロンの形状とバチ(先端は綿がきつく巻いてある)と演奏の様子がわかるのが下の画像↓(NHKテレビ「ひるまえ ほっと」より)
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◎「ハーリ・ヤーノシュ」という曲で知ったツィンバロン
今から60年ほど前、1965年頃だったかに私が購入した(オープンリール・テープレコダー用)ミュージックテープが「ハーリ・ヤーノシュ」(イストバン・ケルテス指揮、ロンドンシンフォニックオーケストラ)だった。

そのテープは残っているが私にはテープレコーダーがもう無いので聴くことができない!
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この曲はハンガリーの作曲家コダーイ・ゾルターン(1882~1967)作の組曲で、曲中に祖国の民族楽器であるツィンバロンを登場させていて、しかもその打音を大きく響かせるパートがあるので、その特有な(ちょっとだけ日本の琴に似た)音は私の耳に焼き付いた?のだった。

先にご紹介した「べらぼう」冒頭に流れるツィンバロンの音は控えめなので聴き取りにくかった方には、この「ハーリ・ヤーノシュ」(Juraj Valčuha指揮、フランクフルト放送交響楽団)をどうぞ・・曲中、ツィンバロン演奏の音がよく聞こえる部分が何カ所かありますが、中でも開始20分25秒から30秒間くらいがよく分かります。→ https://www.youtube.com/watch?v=ym2QvHQNyPU

↓フランクフルト放送交響楽団演奏中のツィンバロン奏者
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↓その奏者がバチで叩いているツィンバロン
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※You Tubeで他のオーケストラの演奏もいくつかみられ、中にはツィンバロンの代わりにマリンバ(木琴)を使っている例があり、私も聴いてみたがやはりその音ではこのハーリ・ヤーノシュには馴染まないと感じざるを得なかった。

《余録1》「べらぼう」でのツィンバロン奏者:斎藤浩 氏
このドラマのテーマ曲でのツィンバロン奏者の斎藤浩 氏は、大阪音楽大学作曲学科卒業後、ハンガリーのリスト音楽院で学び主席で卒業し、その後にアジア人で初の「ツィンバロン・ソリストディプロマ」の資格を授与されている。

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(↑NHKテレビ「ひるまえ ほっと」より)

テーマ曲の作曲者であるジョン・グラム氏は「このドラマはグローバルな視点からも見られるべきだと考えて、東洋的でも西洋的でもない曲作りにハンガリーのツィンバロンを採用した」と述べている。

蛇足ながら、35年ほど前のこと、私の職場に大阪音楽大学卒の女性社員(つまり斎藤浩氏の先輩)がいて、何かの会話の中で彼女の口から” ツィンバロン”という言葉が出てきたので、

私の中では久しく忘れていた楽器の名が懐かしいと思うと同時に、さすが音大卒!しかしそれは音楽関係者の中では常識なんだろうなとも思ったことであった。

《余録2》「コダーイ・ゾルターン」か「ゾルタ(ー)ン・コダーイ」なのか?
組曲「ハーリ・ヤーノシュ」の作曲者の名前は、昔は「ゾルタン・コダーイ」と表記されていて、私もそう覚えていたところが、現在では「コダーイ・ゾルターン」となっているので、なぜかと思って調べたら・・

「コダーイ」は姓であり、「ゾルターン」は名であり、ハンガリー語圏では日本語と同じ”姓・名”の順の表記となり、インド・ヨーロッパ語圏の表記では”名・姓”となる。

つまり昔は英語圏式の読みだったが、近年では”表記は現地での読み方・呼び方を採用する”という流れになり、これに沿って変わったものだろう。

ちなみに、我々日本人を含むアジア系やアフリカ系人種のお尻などに出現する青い色の「蒙古斑」がハンガリー人にも少なからず出現することもよく知られている。

《余録3》「ハーリ・ヤーノシュ」は聴いて楽しい
「ハーリ・ヤーノシュ」という組曲は気軽に楽しめるもので、主人公である夢想家でホラ吹きの老兵ハーリ・ヤーノシュが居酒屋で語る話の内容を器楽で表現したもので・・

まず一発クシャミをしてから始まる話は、ウイーンの音楽時計からは小さな兵隊が出てきたり、恋人のこと、はては敗北したナポレオンがハーリに助けを求めた・・などというもの。

《余録4》音楽とナポレオンと言えば・・
ハーリ・ヤーノシュの曲中にナポレオンをあつかった部分があったとは知らなかったのですが、音楽とナポレオンの関係と言えば、有名なのが、ベートーベンの交響曲第3番「英雄」とチャイコフスキーの序曲「1812年」。

ベートーベンは当初ナポレオン・ボナパルトを賞賛していて、彼を讃えた交響曲の作曲にとりかかって、その曲名にボナパルトの名を冠していたが、やがて皇帝を名乗り独裁者となったことに激怒して、曲名を単なる「英雄」にしたという。

チャイコフスキーは楽譜出版社と友人から小曲を依頼されたが、気乗りしないまま1880年に作曲したのが序曲「1812年」(演奏時間17分弱)。この1812年はナポレオンがロシアに遠征して冬将軍にもあって敗退した年。曲の最後には大砲の音を入れることが楽譜上で指定されているが、ライブ演奏では無理なもののレコードやCDなどでは実際の大砲の音をミキシングして入れているものがある。
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