ちょっと日にちが過ぎたが、11月28日は「太平洋の日」だそうで、

1520年のこの日にマゼラン率いる船団は南米大陸南端の(後年命名された)マゼラン海峡を通過して太平洋に出たのが由来。

最近よく教科書やマスコミなどでの“表記”が変わった例があげられていて、例えば「隠れキリシタン」が「潜伏キリシタン」に、「建武の中興」は「建武の新政」に、鎌倉時代開始は「1192年」から「1185年」になったりしていますが、その中でも”人名ではその人本来の呼び名、地名では現地での呼称を採用”した結果の変更も多く、「マゼラン」の表記変更もその一つ・・というわけで・・

◎人名呼び方変更

「マゼラン」 ⇒ 「マガリャンイス」
mazeran

「マゼラン」は英語表記した場合の読みで、ポルトガル人の彼は「マガリャンイス」が本来呼称。

マガリャンイスは世界一周を目標に航海始めたのが1519年。途中では船員の食料不足やビタミンC不足による壊血病発生(コロンブスの航海中でも発生していた)などで船団を離脱する船もでるなどの危機もあったが乗り越えた・・

そこで新しく彼の名前を覚え直すには・・”曲がらん意志”の”マガリャンイス”と覚えたらいかがか?

残念ながら彼は1521年に現在のフィリピンのセブ島まで到達した時点で原住民に殺されてしまったが、部下が航海を続けて1522年に成し遂げた。

現在、ブラジル(ポルトガル語の国)のサッカー界には「マガリャンイス」という有力選手がいる!

「フランシスコ・ザビエル」 ⇒ 「フランシスコ・シャビエル」
syabieru

「ザビエル」も英語読みで、スペイン人の彼の綴りはXavierまたはJavierなのでスペイン語ではハビエルなのだが、ややこしいことに彼の出身地は同じスペインの中でもバスク・ポルトガル語圏にあったので読みはシャビエル(シャヴィエル)。

現在、ブラジル(ポルトガル語の国)出身のJ1サッカー選手に「シャビエル」がいる!

「アレキサンダー(大王)」 ⇒ 「アレクサンドル(大王)」
紀元前4世紀にヨーロッパからアジアにまたがる領土を広げたマケドニアの王の名を、昔の日本の教科書などは「アレキサンダー」とドイツ語由来の表記をしていたが、現在は彼の出身地であるギリシャでの呼称「アレクサンドル」となっている。


「ネール」 ⇒ 「ネルー」
neheru

インドの初代首相。戦後、日本へ贈呈してくれた象の名前は氏の娘さんと同じ「インディラ」だった。

ただし、インド国内では現政府がネルーの名前自体を教科書から消させている。(理由はここでは省略)

「カルビン」 ⇒ 「カルヴァン」
宗教改革の創始者であるルターは別格として、その他の改革指導者としてはツヴィングリとカルビンらがあげられる。カルビンはスイスで活躍したがフランス人であり綴りはCalvinで読みはカルヴァンとなる。

◎国・土地・山の呼称変更
象牙海岸」⇒「コートジボワール」
昔はアフリカの西部に在る港から奴隷連れ出しと象牙持ち出しが
ヨーロッパ列強国によって行われていて、その後フランス領西アフリカになっていたが、1960年に独立後はフランス語の「コートジボワール」(意味は象牙の海岸)を名乗ってはいたものの世界各国では何故かその国名を意訳していて、日本では(カタカナではなく)「象牙海岸」と称していたが同国が各国に対して意訳国名をやめるように要請したため、2003年に日本では正式に「コートジボワール」採用を決定したもの。

「イギリス領ギアナ」
「ガイアナ協同共和国」
「オランダ領ギアナ」「スリナム」
「フランス領ギアナ」フランス領ギアナ」(変更なし)
南米大陸北端部でカリブ海に面してベネズエラの東隣に寄り合うように存在する三つの国は、元々現地語で「豊かな水の地」を意味する「ギアナ」地方にあり、ヨーロッパの三国の植民地だったが英領は1996年に「ガイアナ協同共和国」になり、蘭領は1975年に「スリナム」となった。

通例では国名や地名が改称する場合に、英語読み名から現地語読みに変わるものだが「ガイアナ」の場合は逆に現地語から英語読みになった珍しい例ではないか。

ベネズエラからこの三国にかけて存在する「ギアナ高地」に「ギアナ」の呼称は残っている。

「ビルマ」 ⇒ 「ミャンマー」
「ビルマ」はオランダ語由来。元々ビルマ語では「ミャンマー」表記があったものを1989年に正式採用。

若い人は「ビルマの竪琴」という小説と映画の題名にピンとこない?

「キエフ」 ⇒ 「キーウ」
「チェルノブイリ」 ⇒ 「チョルノービリ」
「オデッサ」 ⇒ 「オデーサ」
「ドニエプル」 ⇒ 「ドニプロ」
この4例はいずれもウクライナの地名をロシア語からウクライナ語に変換したもので、このカタカナでの表記を採用すると日本の外務省が2022年に決定し発表した。

ムソルグスキー作曲の10曲からなる組曲「展覧会の絵」の最後に登場する曲が「キエフの大門」と従来言われて慣れ親しんだ部分をキーウでは違和感ありとする人が多い。

1986年にチェルノブイリ原子力発電所で大量の放射能漏れ事故が起きたがこの場所は現在のウクライナの北部にあるゆえにウクライナ語の呼称に変更。

「セイロン」 ⇒ 「スリランカ」
セイロンの名は紀元前のこの島に存在した王族が呼んだ島名が訛って最終的に英国人が称したものだが、1972年に現地語で「光り輝く島」を意味するスリランカに正式変更。

「セレベス」 ⇒ 「スラウェシ」
インドネシア共和国を構成する島の一つで”ヒトデ”の形をしているので地図見てもすぐわかる。

セレベスはオランダ領だったこともありオランダ語による呼称であったが戦後の独立にともなってスラウェシと呼ぶようになったが実情は世界的にみても呼称変更が認識されていなかったようで・・

私の小学生時代の昭和30年代中頃でも日本製の世界地図や書籍にはセレベスの表記だった。

そしてこの島の原産である「セレベス」芋には名前が残っている。

indonesia

「ボルネオ」 ⇒ 「カリマンタン」
スラウェシの西隣りにある”腹の出たタヌキがしゃがんで右を向いているような形”の島。

「エアーズロック」 ⇒ 「ウルル」
uluru

オーストラリアにある巨大な一枚岩の山で高さは348m。 「エアーズロック」は英国の探検家が名付けたものとされ、「ウルル」は先住民のアボリジニの呼び名であることから、最近は後者の表記が主流。

「マッキンリー」 ⇒ 「デナリ」
北米大陸最高の6190mの山で「マッキンリー」は米国大統領の名前が由来。「デナリ」は元々先住民による異なった呼び名がいくつかあるので、それをアレンジした表記として採用し、2015年に正式決定された。

世界的に有名な日本人探検家の植村直巳氏が遭難した山でもある。

「グルジア」 ⇒ 「ジョージア」
元々のグルジア民主共和国がソ連邦に併合されていたがソ連崩壊後に再度独立して、さらにロシアと国交断絶してロシア語由来の読み方の「グルジア」をやめて、従来から欧米と日本の一部で呼ばれていた「ジョージア」を採用するよう各国に要請が出されて日本では2015年に変更した。

◎人名の訂正

「リーガン」 ⇒ 「レーガン」
regan

このアメリカ合衆国の元大統領は、それ以前の映画俳優時代から大統領予備選挙時点までは「リーガン」と名乗っていたが、大統領候補指名を受けると「自分のルーツのアイルランド流の読み方に変える」と宣言して以後「レーガン」とした。

「みなかみつとむ」 ⇒ 「みずかみつとむ」
t.mizukami

水上勉氏は戦後に小説家として名前を成してからしばらく1987年頃までは出版業界や一般人からは「みなかみつとむ」と呼ばれていたが、戸籍上の読みは 「みずかみつとむ」であることを公表したので、以降はこの読み方が定着した。

「リザ・ミネリ」 ⇒ 「ライザ・ミネリ」
liza-mineri

アメリカの女優・歌手である彼女がまだ日本ではあまり知られていない時期には、日本の一部マスコミでは「リザ・ミネリ」と読んで紹介していた。

彼女の母親は映画「オズの魔法使い」でドロシー役で主演したジュディー・ガーランド、父親は映画監督のヴィンセント・ミネリ。

お話ちょっとそれますが・・
「オズの魔法使い」でドロシーが履いていた(通称)「ルビーの靴」は数足が作られていて、その内の一足が、つい先日12月6日に、あるオークションで2800万ドル(日本円で約42億円)で落札されたとのこと。

◎民族名の呼称変更

「インディアン」 ⇒ 「ネイティブアメリカン」

「エスキモー」 ⇒ 「イヌイット」
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次回は、エベレストなど”一度は呼び名・名前が変わったものの再び戻った(ような)例”をあげてみます。
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