徒然G3(ツレヅレジイサン)日話秘話飛話

兼好法師ならぬ健康欲しい私がつれづれなるままに お伝えしたいこと綴ります。 時には秘話もあり!

    ジャンルは不特定で硬軟織り交ぜながら 皆様に何かお役に立てば幸いです

    2024年08月

    「bias=バイアス」は辞書によれば、「先入観、偏見」 「斜め、斜線」。

    私が知る”「バイアス」という言葉が登場する分野"は3種類あり・・

    (1)先入観や偏見ある行動分野
    (2)斜めに裁断または編む裁縫分野
    (3)電子機器などの電流・電圧の回路設計分野

    “文”量が多くなるので(2)と(3)については概略を後記することにして、今回は(1) の”先入観、偏見”について・・

    “先入観、偏見というバイアス”に着目した理由は・・先回に”神棚をもうけている家庭の存在はすべからく減少に向かうであろうと大多数の人が思う”先入観”がある中で、漁業従事者の多い地など一部の地域では神棚が必ずそなえられ、しかも廃れない(減少しない)”という事実があることをご紹介したことに関連するからです。
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    神棚の例 (総檜作り 165万円:「大越仏壇」社オンラインショップより)
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    仏壇の例 (名古屋型台付き 365万1340円:「こころあ堂」社オンラインショップより)

    以前にも記しましたが”漁業従事者が多いある地区での調査結果のデータがここにご紹介できない”のですが、”一般的な広い範囲を対象とした調査結果”はいくつか発表されていて・・

    ◎神棚と仏壇の保有率と推移
    公益財団法人 庭野平和財団が行った調査(※詳細後記)では1999年に1345人、20年後の2019年に1203人から回答を得た結果・・

    〇「神棚」保有率49%→35.6%へ減少。(20年間で13.4ポイント減少)
    〇「仏壇」保有率53.6%→44.9%へ減少。(20 年間で8.7ポイント減少)

    上記から「仏壇」の方が「神棚」よりも保有率が高く、また減少率も緩やか。

    〇「神棚」の保有率は都市規模によって著しく異なり、
    「郡・町村」がもっとも高く(48.3%)、
    「東京特別区(東京23区)」が20.8%と最低。
    「郡・町村」での「神棚」の保有率は高いものの、74.3%→48.3%へと26ポイント減少。

    〇「神棚」の年齢別の保有率を20年前と比較すると、全世代で低下している。

    ※当調査方法詳細
    《 調査の概要 》 < 2019 年調査> ・調査日 2019 年6月7日~ 16 日 ・対象者 住宅地図による満 20 歳以上の男女 4000 人(層化副次(三段)無作為抽出法) ・実施方法 個別面接聴取法(官製葉書による事前協力状送付) ・有効回答数 1203 人(30.1%) ・回答者内訳 男 46 %、女 54 %▽ 20 歳代 11 %、30 歳代 13 %、40 歳代 18 %、50 歳代 16 %、60 歳代 17 %、70 歳代 26 %▽ 21 大都市 28 %、その他の市 62 %、郡・町村 10 % ※本調査は庭野平和財団「日本人の宗教団体への関与・認知・評価に関する調査」による調査で、世論調査の実 施は社団法人中央調査社に依頼して行われた。 参考 < 1999 年調査> ・調査日 1999 年 11 月 11 日~ 14 日 ・対象者 住民基本台帳による満 20 歳以上の男女 2000 人(167 地点、層化二段無作為抽出法) ・実施方法 個別面接聴取法(官製葉書による事前協力状送付) ・有効回答数 1345 人(67.3%) ・回答者内訳 男 45 %、女 55 %▽ 20 歳代 11 %、30 歳代 17 %、40 歳代 19 %、50 歳代 21 %、60 歳代 33 %▽ 13 大都市 23 %、その他の市 54 %、郡・町村 23 % ※本調査は文部省科学研究費「日本人の宗教意識と行動」(代表者・阿部美哉國學院大学教授)によ る調査で世論調査の実施は社団法人・中央調査社に依頼して行われた。

    ◎自宅の仏壇と神棚保有率
    Sirabee(調査会社)が2023年に全国10〜60代男女1000名を対象に調査した結果・・

    〇仏壇と神棚両方ある・・16.4%
    〇仏壇だけある・・・・・・・・18.0%(仏壇保有率34.4%)
    〇神棚だけある・・・・・・・・ 8.7%(神棚保有率25.1%)
    上記から
    〇仏壇と神棚どちらかが有る・・43.1%
    仏壇と神棚どちらも無い・・・・56.9%

    〇独居(一人暮らし)世帯のほうが仏壇・神棚の保有率が高い
    仏壇・神棚のどちらも無いのは・・
    家族で住む世帯・・67.2%。 
    独居世帯・・・・・47.6%

    この結果を受けてSirabee社のコメントは・・「核家族や夫婦2人家庭などでは、神棚はもちろん仏壇を置くスペースも確保しづらいだろう。一方、高齢者の独居が増えており、以前から仏壇や神棚が備えられた家に住み続ける、といった現状になっているのかもしれない」としている。
    ※Sirabee社の当調査結果グラフなどは・・

    以上にご紹介した”神棚・仏壇保有率に関する調査結果”は”大勢として保有率は減少傾向だろうし、都会より居住面積が大きめの田舎での保有率のほうが若干は多いだろう”という先入観に沿ったものになっていますが、これが(冒頭記述のように)日本の全ての状況を表してはいない。

    このような調査は「バイアスがかかった調査」という言いかたをされます。

    ◎最近の調査対象者の性別バイアス?
    私は現在、ネットによるアンケートサイトを持つ6社に登録して多数の回答をする毎日ですが、各アンケートでは最初に必ず回答者の属性(性別、年齢、居住都道府県、就業形態、既婚・未婚・離死別、戸建てなど住居形態、場合により個人年収、世帯年収など)を問われますが・・

    ここ1年くらいの内に変化した項目がいくつかあり、従来は就業形態の選択肢の中の「無職」は、同じ無職でも「年金生活者」が別に登場し始めているなどある中で、性別回答選択肢は多様化してきて・・

    「男性/女性」///「男性/女性/その他・回答しない」///「男性/女性/その他/回答しない」/// 「男性/女性/無回答」///「男性/女性/分からない/答えられない・答えない」///「男性/女性/ノンバイナリー・第三の性別/回答したくない」///「(あなたの戸籍上の性別をお答えください)男性/女性」

    こうなると、選択肢として男性/女性の二項一択では、それにあてはまらない人からの回答が期待できずにバイアスがかかった調査になる。

    ◎その他のバイアス注意例(1)「シニアのパン食」
    seniors
    シニア層は和食志向が強いと思われがちだが、特に朝食はパン食が少なくない。
    bread

    (A)
    65才以上の男女148人:1997年 三洋電機による調査によれば・・

    シニアの朝食の主食は・・

    「常にパン:29%」、「パンが多い:6%」と”パン派と言える人が3割強”

    その他「パンとそれ以外が半々:12%」 「パン以外が多い:15%」なので・・
    「朝食にパンを食べることがあるシニアは62%存在する」ことになる。

    ※朝食に「パンは食べない:34%」と「パンとそれ以外半々」、「パン以外多い」、「パン多い」からすると・・
    朝食に”パン以外“を食べることがあるシニアは67%存在とやや多いことにはなる。

    なお、シニアの昼食にパン食は少なく、麺・パスタ類も多くこの傾向は中年層と変わらない。夕食は年齢にかかわらず”白いご飯”が多い。

    (B)
    50~70才男女229人:1997年5月~6月 三洋電機による(先記(A)とは別調査)では・・

    パン派のほうが多い結果が出ていて・・
    朝食にパンを食べることがある・・・・・・68.1%
    朝食に米飯・その他を食べることがある・・54.6%

    この傾向は女性でしかも高齢になるほど顕著で、
    朝食に食パン又はバターロールなどパンを食べるのは・・
    70才代の男性・・46.9% 
    70才代の女性・・75.8%

    ※別の”ある聴き取り調査”で”シニアが朝食でパンを食べる理由は「心情的にはお米のご飯食べたいが、それは胃にもたれるから”という声があった。ただしこの状態は”あまり体を動かさない生活をする人たちに起こるものであって、畑仕事などで体を使う人たちにはあてはまらない”

    ◎その他のバイアス注意例(2)「シニアの早寝・早起き」
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    昔から「年寄りは早寝、早起き」と言われてきたが、実際は若い世代とかわらない。
    senior-kirakira

    (ア)
    50~70才男女229人:1997年(前記(B)と同時調査)では・・

    以下のそれぞれ3時間に集中。ピークは就寝が23時台、起床は6時台

    〇就寝時刻・・22時台14.9% /
    23時台41.9% / 0時台23.6%
    〇目覚め時刻・・5時台27.5% / 6時台46.7% / 7時台14.9%
    〇寝床(ベット出る)時刻・・5時台15.3% / 6時台43.7% / 7時台26.2%

    (イ) 40,50,60,70才台 首都圏在住の男女1200人:1997年4月~5月 自記式留置法による調査((株)SRIコンサルティング社が担当、調査依頼社:三洋電機)によれば・・

    各年代すべて(やはり先記(ア)と同様)以下のそれぞれ3時間に集中。ピークは就寝が23時台、起床は6時台)(下記は小数点以下四捨五入)

    〇就寝時刻・・40才台:22時台11% /
    23時台37% / 0時台33%
           50才台:22時台14% / 23時台44% / 0時台22%
           6
    0才台:22時台25% / 23時台43% / 0時台10%
           7
    0才台:22時台28% / 23時台30% / 0時台12%

    〇起床時刻・・
    40才台:5時台 9% / 6時台44% / 7時台33%
           50才台:5時台13% / 6時台43% / 7時台28%
           6
    0才台:5時台16% / 6時台38% / 7時台29%
           7
    0才台:5時台11% / 6時台38% / 7時台36%

    ※参考:日本人の平均 就寝時刻:23時12分 /  
    起床時刻:6時32分  
    ・・・・・・・・・・・・・
    (2)斜めに裁断または編む裁縫での「バイアス」
    裁縫において布の織り目に対して斜め45度に裁断することを「バイアス裁断」や「バイアス裁ち」と言い、そうしてできたものを「バイアス布」や「バイアス生地」と言い、

    織り目に沿って縦または横に裁断した布に比べて”引っ張れば格段に延びる”特長を発揮するようになるもので、

    「バイアス布」を使って細い帯状に加工したものを「バイアステープ」とするものもある。

    編み物において斜めに編んでいく方法を「バイアス編み」と称し


    その特長は”斜めに編んでいくことで、(通常は服作りなどで胴体部と袖部を別に作って後に両者をつなぐ作業が必要だが)胴体部も袖部も一気に作り上げてしまう手法”で”一般の服のようにつなぎ目が分厚くなってゴロゴロする“ようなことがない。

    バイアス編みのセーター(RandYカンパニー社の通販ページより)
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    胴体部分(みごろ)と袖のつなぎ目が無い(「空色テーブル編み物レッスン」ブロブより)
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    (3)電子機器などの電流・電圧の回路設計分野での「バイアス」
    電子機器などの回路設計においてよく使われる言葉ですが、私にはチンプンカンプンなので、「ヤフー知恵袋というサイトでのある質問者への回答が「fried tumip」さんからなされている内容を転記させていただきます。(私はこれでも理解できませんが)

    『バイアス(bias:偏り)という言葉は電圧や電流など色々な場面で使われます。 電圧の場合には一般に中央が0Vの偏りの無い信号を、偏った信号にするために加える電圧のことを言います。

    例えば、+4V~-4Vの交流信号に、5Vのバイアス電圧を加えると、+9V~+1Vまでの直流信号になります。波形は維持したままで電圧の中央が5Vだけ偏った信号になります。

    直流で動作する電子回路で交流信号を処理する時には、バイアス電圧を加えて直流信号にしてから処理します。その後必要なら交流成分だけを取り出します。』
    ・・・・・・・・・・・・・
    ◎「ステレオタイプ」と「バイアス」のちがい?..........
    これについてはよく分からないのでネット上で調べたら、その解釈は多様でちょっと混乱気味。そこで私なりに大体のところをまとめると・・

    「ステレオタイプ」と「バイアス」のどちらも「先入観」や「偏見」を内包するものだが・・

    ステレオタイプとは、多くの人に浸透している固定観念や先入観、偏見などの意識のことを指す。言わばそれがアタマの中、心の中に在るもの。

    「バイアス」とは、固定観念や先入観、偏見に基づく意識が言動に反映された際に、それを「ステレオタイプに基づいた(言動)」と言わずに「バイアスがかかった(言動)」と表現される。

    ただし、意識せずとも結果的に「偏り」がある言動も「バイアスがかかった(言動)」と言われる。例えば、何かの調査の際にネットだけを利用してアンケートをとった場合などは、回答者の属性は”ネットにアクセスできる人たち”に限られるという偏りが発生。

    そしてよくあるケースが・・
    ”都会の中で都会生活者だけを対象に調査”することで、例えば農漁村を除外することになって、地方性に気付かないことで偏りが出ていることがその調査の性格と目的によっては問題になる。(先記の就寝時刻・起床時刻調査対象を首都圏在住者としたのもバイアス性ありと言えますが・・)

    時々あるケースが・・
    質問に対する回答欄で、質問者側が提示している回答選択肢の中に回答者が答えようとする項目が無いということがあること。具体的に言えば・・「回答をA、B、Cの中から選べとした場合に実は別にDにあたる選択肢もあるという欠陥質問が時々ある。

    これを回避するために、回答選択肢の最後に「その他」という項目を設けて、"その「その他」とは何なのかを記入する欄"をもうける場合が多いのだが・・

    ※「ジェンダーバイアス」は特別?
    最近頻出する「ジェンダーバイアス」という言葉は、どうやら"ジェンダーという男女に関する従来通念を心(アタマの中)に持つだけで、それを言動に出さずともバイアスと称する"ようで、そういう解釈、見解、説明がネット上を占めています。まーそもそも「ステレオタイプ」と「バイアス」は不可分的なものですから違和感はないようなものですが・・
    ・・・・・・・・・・・・

    日本の神道(しんとう※1)における神様と仏教における仏様。それを身近に拝めるのが、神道では祠(ほこら※2)や神棚、仏教では仏壇ですが今回は神棚にちょっと注目。

    ※1
    :神道を「しんとう」と読むと意味は”日本古来の土着信仰”。「しんどう」と読めば”神(そのもの)”又は”墓所の道”の意となる。
    2:一部には仏教に属するお地蔵さま(地蔵菩薩)を祀る祠もある。

    ↓神棚の例(左) / 仏壇の例(右)
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    画像は左:楽天市場より/右:「メモリアルアートの大野屋」のHPより引用

    ◎漁業従事者の家には必ずと言っていいほど神棚がある
    原始より日本人は山、海、火、雷、滝、巨木、疫病など万物に(近年はトイレにも?)神が宿るので”やおよろず(八百万)の神”がおわすという観念があるが、中でも海、川、湖などで漁をする人達は神様に豊漁を願うと同時に、「板子(いたご)一枚 下は地獄」と言われるほど危険な船での無事を祈願することは必須となるので自宅には神棚が必ず設けられる。

    そして船(漁船に限らず船全般)の中にも神棚設置の例が多い。

    ”ある漁村を対象に調査したら神棚の保有率が100%”だったという資料を読んだことがあるが、

    そこでもう一つの特徴として挙げられていたのは”神棚の保有は老若に関係なく、しかも時代が変わっても行われる”ので年寄り世帯のみならず20才代の世帯でも神棚は在るという状況は変わることがないということ。 

    この事実は、日本全体の近年の神棚の保有率が減少傾向にある中で見落とされがち。
    (他の地域と同様にこの漁村でも神棚とともに仏壇も有る家もあると思われるが割合は不明)

    ◎漁村の神道ゆえの「奥津城」(おくつき=墓)
    前述のように漁村では”生きるための糧と命の守りのためという切実な願いは神様にすがる”ことになるから、自ずとこれは神道のカタチとなる。

    一般的には墓と呼ばれるものを神道では「奥津城」または「奥都城」(双方とも読みは「おくつき」)と称する。形式も一般的な(仏式の)墓とはやや異なり墓石にあたる石柱の頭頂部はやや四角錐のようにすることが多く、香炉が無く、線香無し、かわりにロウソク立てが有る。

    ・・・というわけで、漁村では奥津城という墓がたてられるようになる。

    「奥津城」と「奥都城」の使い分けには諸説あり・・
    A) 海、川、湖など水場に近い地域では「奥津城」。それ以外の地域では「奥都城」
    B) 神官や氏子だった人は「奥都城」。それ以外の一般人は「奥津城」
    C) 「奥津城」か「奥都城」かはこだわりなし

    なお、
    現在の奈良県明日香村では、仏教伝来以前の例えば古墳時代に造られた(今で言う)墓や陵墓のことを称して「奥津城」と称している。

    ◎五島列島に在る「奥津城」の例  
    私の亡父の出身地である長崎県の五島列島の中通島(なかどおりしま)の小串(こぐし)という地域は漁港があり、住民の多くは漁業従事者。海に向かって小高いが緩やかな傾斜地に大きな共同墓地があり、先祖はその墓地にある「奥津城」に眠っている。

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    ↓小串港
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    ↓小串の共同墓地
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    ただしその石柱部には「祖先之奥津城」と刻んである。普通よく見る例の「○○家之墓」とは異なる。しかし基台部の石材には”蔦(つた)の紋”が彫ってあり、かろうじて我が家系の奥津城とわかる。

    日本全体では「○○家之奥津城」と刻んだもののほうが多い。

    ↓私の祖先の奥津城(左) / ○○家之奥津城の例(右)
    (「石の東栄」社のHPより)
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     漁村という特に神頼み必須の神道信仰の地であり、かつ言うまでもなく”水”関連の地だから「奥津城」という表記になるのはわかるが、なぜ”「○○家」ではなく「祖先」”なのかという疑問がわくが・・

    伝承によれば”事情により他の家系の死者も受け入れて合葬していたから”ともいわれるが、別の推論として”この奥津城を立てた時代にはこの辺境の漁村には苗字をもつ者が私の祖先も含めて殆どいなかったので○○家とはならなかったのではないか”とも考えられる。

    一般的な(仏式の)墓にも「先祖代々之墓」と刻まれたものを見かけることがあるが、これも同様な理由だろう。

    それでは「奥津城」という言葉と意味を誰が教えて使わせたのか? 当時の漁民自身とは考えられない。そこで登場するのが近くに居た知識人である僧侶や宮司・神官で、彼らは庶民に色々な苗字を(中には遊び心や奇異をてらった苗字もあったが)考えてあげることが日本全国で広く行われたことはよく知られている。

    その延長で建墓についても庶民から相談を受けた結果が現在の「○○家之墓」(仏式)対「○○家之奥津城」(神道式)の存在率の差。それは僧侶と宮司・神官の数の差の表れだろう。

    ちなみに、私の父は生前に「(故郷の五島の)小串に帰った際に会った坊さんから「奥津城」について否定的な説教をされてイヤな思いをした」と言っていた

    ・・ということを私は間接的に聞いたもので詳細不明なので想像するに、お坊さんは「死後の世界は仏教のほうが神道よりも良いから、故人のためにも宗旨替え?して墓も換えた方がよい」というようなことを言ったのではないか? それはお寺にとっても都合がよいのだろうから・・

    そう考えると、この小串という漁業の地であっても奥津城と称する墓が(よく確認できないが、周囲の墓を見渡したところ)稀な存在であろうことの理由は・・多くの家が本来の神道から宗旨替えさせられて仏式の墓にしてしまった・・のではないかと思える。
    ・・・・・・・・・・・・
    さて、先祖が奥津城に祀られている父だが、信仰心希薄で、自宅には神棚は無く、小さな仏壇らしきものはあったが父親(私からすれば祖父)の小さな写真が置いてあるだけで、線香をあげているのを私は見た記憶がない。

    しかし父がそうなったのには、中国大陸中心に7年間の過酷な戦場で”神も仏もあったものじゃない”という経験が作用していたように思える。

    私が小学校入学から就職までの期間に、学校に提出する家庭状況調査書類や就職用の履歴書には(現在では廃止されている)"信仰宗教記入欄"があったので、父に聞くと(信仰実体が無いものの)「浄土真宗にしておけ」と言われたものだった。

    それでも父は歳をとってからの一時期に、ある”願掛け”のために自宅から徒歩12,3分の長崎神社(昔、帝銀事件があった場所の隣に在る)へ1年ほど毎日お参りしていた。

    一方私の母方の祖父の自宅(東京)には神棚だけあって仏壇は無かった。それもそのはずで、祖父の出身は福岡県宗像市神湊(むなかたし・こうのみなと)であって、ここはユネスコの世界文化遺産にもなっている宗像大社(玄界灘に浮かぶ島に在る)に渡るための港ともされて「神湊」という地名が表しているように"神が近い"地であるから。
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    日本の大企業から個人商店などまで、職場内、ビル屋上あるいは工場敷地内など、そして剣道・柔道の道場、日本刀製作(刀鍛冶)現場、陶器焼成現場などでは神棚あるいは祠(ほこら=神をまつる小さなやしろ)が設けられることも多いが、仏壇は見られない。

    私が勤務していた会社の工場部門では敷地の一角に祠が建てられていて月に一度、幹部による参拝式が行われていましたが、会社全体では従業員が2万人以上いたので、勤務期間中に亡くなる人が年間で10人前後~数人になることで、会社の菩提寺と言えるようなあるお寺で年に一度「物故社員追悼法要」が行われていた。
    つまり、私が勤めた会社は、神にも仏にも頼っていた?

    まあ、多くの日本人が”赤ちゃんが生まれて1か月たてば神社に「お宮参り/初宮参り」して、亡くなればお寺のお世話になる”というような神仏へだたり無しの状態と同じか・・
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