前回、最近の日本での騒音苦情の事例をあげてみましたが、冬ならではの例、その他の例を追加紹介します。
◎「雪かきの音がうるさい」・・という苦情
その音とは「ゴーリ、ゴーリ」というような音であり、雪かきをする際に金属またはプラスチックのスコップ(シャベル)やスノウダンプ(上イラスト右側)が地面(最近はたいていアスファルト舗装面)に擦れて必ず発生する音。
勿論、降雪が多い地域では必要な作業なのですが、”深夜または早朝の雪かき音による安眠妨害”への苦情が非常に多い。
具体的には、”深夜2時、3時”や”早朝5時”の雪かき作業を平均30分くらい続けるのでその音で眠っていられないという声が多発。
中には、深夜にエンジン式の家庭用除雪機※を使う人もいて大迷惑だが、豪雪地域では自治体が大型除雪車を深夜でも稼働させることがあり、これは各家庭前の道路をサーっと通り過ぎるので苦情は出ないそうだ。 ※電動の静音タイプ除雪機は販売されているのだが・・
北海道の河西郡芽室町では公害防止条例で「夜間(22時~6時)にあっては付近の静穏を害する行為をしてはならない」と定めているため、これをもって違反者を出さないようにしている。
◎「『火の用心』の見回りの掛け声がうるさい」という苦情
昔から全国的に行われてきたカタチは、夜間に数人が一団となって「火の用心(ひのよーじん)」と大声を出し、拍子木をカッチ、カッチと打ち鳴らすことを繰り返しながら地域を歩き回る・・というもので主に空気が乾燥しかつ暖房などで火を使うことが多い冬の期間中に行われるもの。
私がかつて暮らした東京都豊島区の町では、昭和20~40年代(その後は知りませんが)には「火の用心! マッチ一本火事のもと!」と言っていた。またその一団は大人一人が付いた子供数人で構成していた。
しかし現在はこの”火の用心巡回”を行う地域が減っているそうで、その理由は・・子供が減った社会では寒い中での高齢者が行う訳にもいかないこと。巡回担当が持ち回り義務になっている地域ではその負担への不満充満。
そして”火の用心巡回”の掛声がうるさいという苦情も多いこと。
・・というわけで長年の慣習を廃止する地域が多いものの、超高齢社会の最近では住宅火災で焼死するお年寄りのなんと多いことか。むしろ東京都の東部の住宅密集かつ道幅が狭く消防車到達困難地域では”火の用心巡回”を消滅させてはならないという意識が若年・壮年にも強い。
この巡回にはもう一つ同時に、不審火・不審者防止という効果があることも見逃せない。
次善の策として”声は出さずに拍子木だけ叩いてまわる” “消防団員のボランティアが実行” “(私の住む地域では冬季のみに)消防車が鐘(電子音)を「カン、カーン」と5秒ごとに鳴らしながら巡回”などで対応している。
◎飼い犬の吠え声
犬の吠える単発の声(ワンと一声くらい)には我慢できても、連続して吠える、年がら年中吠える声は万人がうるさいと思うもので、それも屋外の犬小屋で飼っている犬の場合は酷くなり、これを飼い主が放置しておけば隣近所から苦情が出ること必至。
私の近所では、犬の吠え声への苦情が原因で2軒の間が絶交していました。(その後、犬の家は転居) また、昔に私の祖父の家の犬小屋で飼っていたほとんど吠えない犬に「うるさい」と苦情を言ってきた隣家がありましたが、これは余程の犬嫌いだったのでしょう。
以前のブログに書いたことがありますが、昔 私が警察無線を傍受出来ていた時期には「住所〇〇の〇〇という家の横を通るたびにこの家の犬が吠えてうるさい」という苦情の訴えがあるので現場に向かえという指令を警視庁からパトカーへ伝えていたことがありました。
これまた昔の話ですが、日本ではかつて「スピッツ」(正式犬種名:日本スピッツ/下写真)という”フワフワ白毛で耳ピンと立ちちょっとかわいい顔”をした中型犬がもてはやされた時代があって、先述の祖父の家でも飼っていたことがありますが、この犬、キャンキャンとよく吠える性格と抜け毛が多めであるのが欠点で、それ故に全国で次第に飼われることが少なくなってしまいました。(ただし、最近は比較的おとなしくなるように品種改良しているとのこと)
◎風鈴の音
まず問題はこの”風鈴の音そのものが人によって好き嫌いが分かれることで、嫌いな人にとっては騒音となっていること。
もう一つは、”風鈴が強風のもとでは強い音でしかも途切れることなく鳴り続ければうるさい”と誰でもが(通常の風鈴音が好きな人でさえも)騒音と感じること。・・実際の例では夏を過ぎても風鈴を”ひっこめる”ことをしないで台風や、木枯らしが吹いてもほったらかしの家が少なからずある。
◎騒音になり得る音環境の概念図
ここで、前回と今回でとりあげてきた”騒音になり得る音環境”を整理して下図のようにしてみました。
<直接音>対面して話される声、怒鳴る声 / 同じ部屋や電車やバスの中で騒ぐ声など
<隣接音>隣室・隣家の人の声や足音、家電機器音、ペット声、風鈴音など。いわゆる生活音。
<周囲音>隣接または極近隣の公園、駐車場、道路駐車、保育園・幼稚園・小学校などからの声や音。
<公害音>万人が確定的に騒音と感じる音なので各種法や条例で規制あり。工場や工事現場の稼働音、自動車類総体の走行音、航空機音など。
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その他、騒音に関して私が体験したエピソードなどは次回に・・
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