徒然G3(ツレヅレジイサン)日話秘話飛話

兼好法師ならぬ健康欲しい私がつれづれなるままに お伝えしたいこと綴ります。 時には秘話もあり!

    ジャンルは不特定で硬軟織り交ぜながら 皆様に何かお役に立てば幸いです

    2023年10月

    世の中、高機能な物は概して複雑な機構や高度な電子部品が使われているもので、これは故障の確率が高くなることもあり、いざ故障すれば修理も複雑になったりする一面があります。

    それをあらためて実感したことがあったので、それと関連する事例を含めて紹介してみます。

    ◎シンプルな体重計へ
    先日、我が家で約8年間使っていた「体脂肪計測機能付き体重計」が稼働しなくなってしまい、一瞬、電池切れかと思って新品に換えてもダメで、遂に廃棄処分することに決定しましたが、その前に一応、中身はどうなっているのかと分解してみたら、なにやら鉄材の細長い部材数点と電子部品を載せた基盤があり、不良原因はたぶんこの電子部品群の中にあると思えました。

    そこで、今度はシンプルな機構の体重計を購入しました。それはタニタ製で、アナログな数字盤は判読性が良いものです。明らかに電子部品は不使用であり、電池も必要なしで今後の故障の心配はしないで永く使えることでしょう。

    新たに購入したアナログ体重計
    taijyuukei

    ◎M社の全自動トースターは?
    高機能だがすぐ故障して廃棄した物として、私がすぐ思い出すのは、M社が今から60年くらい前に発売した”全自動トースター”。

    当時一般に普及していたトースターといえば、天面に食パン1枚が縦に入る口が二つ並んで開いていて、そこにパンをチョコンと入れてからトースター側面のレバーを下げて完全にパンが本体内に収まると同時に加熱が始まり、焼きあがると”ポン”とレバーが上がりパンが頭を出すというもの。

    ところがM社の全自動トースターは一見普通のように見えて、唯一違う点は、側面にレバーが無いこと。そして”全自動”とうたう所以は、”食パンを投入口に入れると自動的にパンがスーっと下降を始め定位置におさまれば加熱が始まり、焼きあがるとまたスーっと飛び出してくるというもの。

    これは便利なようで、食パンの下降と上昇に各6秒くらいだったかを要して忙しい朝にはイライラしたもので、しかも使用開始1年足らずで稼働しなくなった。

    直感的に、このようなトースターはダメだと思い、廃棄前に分解してみたら、中の構造は複雑だったので、やはりシンプルな方が良いと感じたものだった。

    かくて我が家の後継トースターは普通タイプに戻った。
    その後M社は二度と全自動トースターを製造販売しなかった(と思う)。

    ◎カラシニコフ銃のシンプルさ!
    私は銃に詳しくはないので、なぜに銃の呼び名には「ブローニング」、「ガトリング」、「マキシム」、「南部」など考案者(設計者)の名前が付いているのか知りませんが、そんな私でも「カラシニコフ」の名前はよく”耳に、目に”します。

    ミハエル・カラシニコフ(1919~2013)は旧ソ連の農家に生まれた。
    Michael_Kalashnikov-c
    (Wikipediaより)

    成人して赤軍に入り第二次大戦中は戦車長としてナチスドイツ軍と戦うなどしながら銃器の研究を続けていて、戦後1947年に”全自動発射ができる自動小銃AK-47“を開発・設計した。その2年後からAK-47はソ連軍内に配備開始され、その後は他国にもライセンス与えて生産されたが、発展途上国などでは無許可でコピー品が生産されて、それらを合計すると現在世界には1億丁以上も存在すると言われている。

    AK-47 (Wikipediaより)
    AK-47
    AK-47が世界中に大量に採用されている理由は、製造が簡単、製造コストが安い、頑丈なこと。それはカラシニコフ氏が戦時中に身をもって知ったドイツの銃器の優秀さを頭におきながら、自国でも開発を試みようとしたが当時のソ連の製造能力では無理と悟って、

    逆に銃の構成部品の寸法精度が低くて大きさがバラバラでも一つの銃として成り立つように余裕をもったシンプルな設計とした結果、組立は勿論、分解・掃除も簡単。そして「乱暴な扱いにも壊れない」、「グリスがきれても、水や泥水に浸かっても、砂に埋もれても使える」と言われている。

    まさにAK-47は”シンプル製品の好例”。

    ◎トヨタのランドクルーザー
    トヨタの大型4輪駆動車「ランドクルーザー」は日本では「ランクル」の愛称で人気があるが、海外でも人気が高い。
    landcruiser

    人気というより必要性からランクルが選ばれる理由は、頑丈で壊れにくく、故障しても修理しやすいこと。

    それを文字通り”支えている”のが”ラダーフレーム”構造で、頑丈な鉄枠の上にエンジンやボディを載せた言わば単純な組み合わせであり、現在多くのクルマが採用している”モノコック”構造が鉄枠を無くしてボディ全体で強度を確保しながら軽量化した構造としているものとは異なるもの。

    こうして、特に中近東の国の砂漠地帯やオーストラリアの”アウトバック”と呼ばれるような広大な荒野を走行中の故障忌避ともしもの故障でもリカバリーしやすいことは、このクルマが選らばれてしかり。

    ◎シンプルなラーメンの良さ
    現在、巷には多種多様なラーメンが生まれていて、それらはスープ作りや具材に凝りまくっていて、それはそれでうまいのですが、私はシンプルなスープと具材のラーメンが大好物です。それは1~2種の素材を使った出汁による醬油ベースのスッキリした味のスープに定番のチャーシューとメンマと少量のネギが入っていればOkというもの。

    また一つシンプル系ラーメンの店が消えた(日本テレビ「Every」より)
    raamen

    私の中では、かつて東京の秋葉原駅の外側に張り付いたように在った、スタンド型椅子7席(だったか?)しか無い小さなラーメン専門店で入り口ドアなどなく全開放型の吹きさらしの中で、何度か食べたシンプルなラーメンの味が忘れられない。
    それはスープにほんのすこしだけ生姜の香りの効いた、実に”飽きのこない”ものだった。

    今、ふと思うに、私は約60年前の子供の頃ころから、長崎県の五島列島出身の父が郷里の親戚から時おり送られてくる「五島うどん」を(日頃は”男子、厨房に入らず”の父にしては唯一の例外で)大きな鍋にはった熱湯の中で茹でながら泳がせて”そのうどんを私たち子供が箸ですくい上げて、同じく五島産の干しアゴ(トビウオ)で出汁をとった醤油つゆ”の中に漬けて食べるという経験をしましたが、これも非常にシンプルな食べ方でした。

    ちなみに現在では、五島うどんのこのような食べ方を「地獄だき」と称するようになっていますが、熱湯の中で茹でながら泳がせていても一般のうどんのように”のびて、ふやける”ということが無くコシが続くのは、五島うどんには、やはり五島名産の椿の油が練り込まれているからだそうです。

    jigokudaki
    (株)おかだ製麺 のHPより

    ◎谷村新司の作曲はシンプルさを心掛けた
    朝日新聞の天声人語欄(2023.10.18)では”先日亡くなった谷村新司氏”について語られていて、名曲”昴”を生んだ谷村氏が音楽の道に入ったきっかけは一本の中古ギターで洋楽レコードを何度も聞きながら音を一つひとつ拾ってまねたことであり、その経験から、作曲する際の基本方針は“初心者が弾けること”を目指して「難しくするのは簡単だが、シンプルであれ。時代を突き抜けていくスタンダードというのは、そういうものなのだ」と言っていたそうで・・

    なるほど、”シンプルなことの大切さ”はモノ作り全般にもあてはまることがあるのではないでしょうか。
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    世の中には、「○○に始まり○○に終わる(戻る)」という格言(表現)があり、頻出するのは、「釣りはフナ(ヘラブナ)に始まりフナ(ヘラブナ)に終わる」でしょうが、昔のオーディオのマニアの間では「スピーカーは(口径)16センチに始まり16センチに戻る」と言った時代がありました。

    ”体重計をアナログ式→デジタル式→アナログ式に戻した” “トースターを普通タイプ→全自動タイプ→普通タイプに戻した”という事例は、この格言の意味合いとは違うものの、文字通りと言えないでしょうか。
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    余録 : 現在(2023年10月)の米国では諸物価上がり、円安も相まって”米国でのラーメン価格”が高騰しているそうで、ロサンゼルスのセルフサービスのフードコートで食べても”もやしだけが入ったラーメン”が17ドルなので日本円換算で2550円。これでは物足りないとして煮卵(1.5ドル)とチャーシュー(4ドル)を追加して(下の写真)これに税(2.31ドル)を加えれば総計24ドル61セント=約3692円となり、日本で食べる場合の4倍の価格になってしまう。これと同じものをレストランで食べようものならチップ(15~25%)をつけなければならず、4500円くらいになってしまう・・とのこと。(1ドル=150円換算) (ロサンゼルス在住の角谷剛氏による報告:TRiP EDiTORサイトより)
    ramen-in-la
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    先日(2023年9月10日)、リビアで複数のダムが決壊して洪水となり多数の死傷者が出たばかりなのに・・
    10月4日にはインド北東部に在る氷河湖をせき止めていた”氷河の氷と土砂から成る天然のダム”が大雨によって決壊して、これまた多数の犠牲者が出ているというニュースが伝えられた。・・ということにちなんで今回は”ダム関連のお話”です。

    ◎「ダム津波」による鉄砲水?!
    「ダム津波」とは、ダムによって出来たダム湖の水が何らかの理由で盛り上がって巨大な波を生んで津波のようになるもので、その結果、莫大な量の水がダムの堤を乗り越えてダム下流の町などを襲って災害を引き起こす。

    1963年10月9日22時39分、イタリア北部のヴァイオント渓谷に在る「ヴァイオントダム」のダム湖の左岸(下流に向かって左側)の「トック山」の山肌が巾1700メートルにわたって地滑りを起こして莫大な量の岩や土砂がなだれ込んだために起きたダム津波

    ダムの堤を乗り超えて(大音響とともに土石を含んだ)”鉄砲水”状態となって2キロ川下の「ロンガローネ村を襲った。これにより犠牲者は2000人以上におよび、
    殆どの建物が流されて消滅した。

    ↓災害後に放棄された状態の現在の貯水無し「ヴァイオントダム」(後方の白い山肌が地滑り部分)
    ※ダム完成時は高さ261メートルで欧州一だった。ちなみに戦艦大和の長さは263メートル
    (以下写真の計5枚は「ナショナルジオグラフィックチャンネル」より引用)
    italian-dam4

    ↓災害起こした直後のダムと地滑り跡
    after-of-dam

    ↓災害直後の村の様子
    italian-dam5

    italian-dam2

    この災害の根本的原因は”ダムの立地選定の誤り”にあるが、”ダム湖左岸の地滑りによる波の発生規模の予測の甘さ“が招いた面もあり、適正な予測に基づいて、ダム下流域の住民を避難させていれば少なくとも死傷者を出さずに済んだ。・・というわけでこれは人災と言われている。

    そもそもダム湖左岸のトック山の地肌は昔から頻繁にき裂が発生して小さな崩落が多くて、地元では「歩く山」と呼ばれていたものの、ダム建設のための地質調査はダムが直接接触するごく近辺に限っていた。

    しかしダム完成後に山肌のき裂に気付いて、いずれは大規模な地滑りが起きることが予想されたので、き裂巾変化を毎日監視した結果、湖水量の増減、すなわち湖水面の上昇・下降によって”滑り落ちに向かう速度が調節できることが判明したために、意図的に湖水面を上下させて滑り落ち速度をゆるやかになるようコントロールしていたところ・・

    ある日突然、き裂巾が大きくなり、近日中に大きな地滑りが起きることが決定的になったので、それならばと、土石が湖水に没入した際に起こるであろう大きな波を予測するため(まだコンピュータ解析などがなかったので)、ダムと周辺地形の300か400分の一?くらいの模型を作製して実験した結果、

    地滑りによって起きる波は高さ20メートルと推定されたので、水面はダムの堤から25メートル下の位置まで下げておけばよいということになった。

    こうして いよいよ地滑り発生日とおおよその時刻がわかったので、10月9日の18時頃から、このダムに関係する国営電力公社の作業員ら60人がダム堤の上に集まって地滑りとそれによる波の状態を観察(見物?)しようと集まっていた。

    ↓堤上で待ち構える人たち(再現映像)
    italian-dam6

    そして22時39分、45秒間の地滑りによって、(後日の推計によれば)”30階建てのビル90棟分にあたる3000万トンの水”が、予想の高さのなんと10倍の200メートル(70メートル説もある)まで立ち上がって巨大津波となり、かるく堤を超えてしまった。しかもその速度は時速140キロだったとされる。

    言うまでもなく堤上にいた者は波とともにことごとく消えて居なくなった

    以上のようにダム関係者は、”この地滑りによる大波はダムの堤を超えることはないという予測”に基づいて、川下の村には何の予告もしていなかったから、多数の犠牲者をだしてしまったのであった。

    ところで、ダムが原因の災害というものは大概は”ダム決壊”によるもので、1800年代末期からの記録に残る大規模な事故だけでも海外で20数件。中には1975年の中国・河南省で台風による大雨により大小62のダムが決壊して2万6000人の死者を出した災害もある。日本では規模は小さいものの10件ほど起きています。

    ただし”ダム決壊”には2種類あって、一つは”予期せぬ決壊”、もう一つは”戦時の攻撃による意図的決壊”。
    過去には第二次大戦時に英国軍がドイツのダムを、中東戦争時にはイスラエル軍が、朝鮮戦争時には米国軍がダムを攻撃している。現在はジュネーブ条約で禁止されているそうですが最近ではウクライナで
    ダム攻撃が発生しているのはどうゆうことなのか?

    ◎ダムの急斜面を登り、歩くヤギ(山羊)たち
    ヤギの珍しい行動として“細い木に登るヤギ”が紹介されることは多いものですが、これはモロッコで見られるもので”アルガンという木”の実を食べるために登るのだそうです。

    ↓木に登る3匹のヤギ (以下の写真はすべて「アニマルプラネット」テレビより引用)
    goat-on-tree2

    しかし、もっと珍しくてしかも驚くのが”ダムの急壁面に登るヤギ゙”。

    所はこれも北イタリア、アルプス山脈の中の標高2200メートルの地点に在る「チンジーノ・ダム」。その高さ50メートルのダム斜面は垂直に近いような感じであり、その(内部はわかりませんが少なくとも)表面大部分は”ほぼ四角の岩石”が積まれた壁のような状態。

    ↓チンジーノ・ダム
    dam-goat1

    驚くことに、このダム壁面にへばり付くようにして数匹から10匹くらいのヤギが下から上へ、上から下へ、左右へと移動している姿が見られる。

    ↓手前のヤギは頭を谷側に、お尻を天空に向けている
    dam-goat2

    dam-goat3

    ボルダリングをする人間が持っている10本の手指を駆使して壁面移動するようなことがヤギにできるわけでもないのに何故に可能なのか?

    実はこのヤギは「アイベックス」という種類で、もともと山岳地帯の急峻な岩場を行動する動物で、短足で重心が低く、鋏のような形のひずめと、たくましい筋肉を持っている。
    aibex

    そして、いくら慣れていても危険であるこの行為の最大目的は・・ダム壁面の石材表面の塩を舐めて塩化ナトリウム他、ミネラルの補給にある。雨が降るたびに岩が含んでいる岩塩成分が表面に浸みだすのだそうだ。(上左写真は舌を出して舐めているところ)

    特にこの行為は、子を産み、子を育てる、あるいは子が育つために重要なので、このダム壁面には雌と子供しかいない。
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    生物にとっては塩分とミネラル摂取は重要なことで、ここでとりあげた”ダム壁面の塩をなめるヤギ”のほかにも変わった方法を使う例をあげると・・

    “他の生物の涙を吸って、塩分とミネラルを摂取する”生物がいる。それは・・
    カメ、ワニ、眠っている鳥などの目の涙を吸う・・チョウ、ガ、ハチ(蝶、蛾、蜂)など。

    ↓カメの目の涙をよってたかって吸う蝶たち(アマゾン地域)
    tear-steal

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    ◎私とダムとヤギ
    私は以前のブログで”三船敏郎主演のダム映画「激流」”や”石原裕次郎が製作断念したダム映画「香港の水(仮題)」”その他”岩手県の田瀬ダム”などをとりあげたこともあり、今回も含めて何やらダムを題材とすることが多いのは・・

    ”私の父がかつてダム建設や隧道(トンネル)が得意な建設会社に勤務していた”のでダムの話を耳にすることが多かったこと、子供の頃にダム建設現場に連れていかれたこともあるなどが影響していると思います。

    また”ヤギ”についてもふれたのは、私がかつて住んでいた東京都豊島区椎名町(現、南長崎)では昭和20年代後半頃でもまだ麦畑や牧場が小規模ながら存在していて、我が家では祖父がニワトリやヤギを飼っていたので、子供の頃の私は卵と”ヤギの乳”で育ったようなもの。

    絞った乳は殺菌のため祖母が加熱処理したものを飲んでいた。・・といわけで私はヤギにも親近感があるためです。

    ↓このヤギの乳を飲んでいた(左の子供が私)
    goat-yard

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    今回、ダムと動物を登場させましたが、この関係で言えば・・”ビーバーが作るダム”も欠かせぬ題材でしょうが、文量が多くなるので省略します。
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