徒然G3(ツレヅレジイサン)日話秘話飛話

兼好法師ならぬ健康欲しい私がつれづれなるままに お伝えしたいこと綴ります。 時には秘話もあり!

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    2023年05月

    先々回のブログで、大谷翔平が”目標に達するための方策と手段”を考えるためにマンダラチャートという図表を使っていたことに触れましたが・・

    大谷作成のマンダラチャート図
    ohtani-mandara (2)

    似たような手法は他にもあるので、いくつか紹介します。その中には私も仕事の中で実際に使ってきたものもあります。

    まず今回は「マンダラチャート」についてもう少し詳しく・・その前に、「マンダラ」について・・

    ◎「マンダラ」は「曼荼羅」(まんだら)
    ここでちょっとご注意 !「曼荼羅」の真ん中の文字は「茶」(英語のTEA)ではなく、草かんむりの下は「余」なので念のため。私も最初は間違えました。(他に「曼陀羅」という表現もあり)

    「曼荼羅」という言葉は”本質・真髄を有するもの”という意味だそうで、仏教の一派である密教も大きくみれば大乗仏教という”衆生を護り、救う性格”を持っているものの、その経典には難解な文言が多く、しかも何やら秘密っぽい加持祈祷を重視するなど理解しにくい面があるために、教義の本質・真髄を踏まえながら”密教における世界観”を少しでも分かりやすいように”見える化”をしたものが「曼荼羅図」。

    ◎「胎蔵界(たいぞうかい)曼荼羅」と「金剛界(こんごうかい)曼荼羅」
    密教の源流は7~8世紀のインドで発生した「大日経」と「金剛頂経」という二つの宗派にあるとされ、双方とも本尊を大日如来とする共通点はあるものの、相違あり、それがその状態のまま中国に伝わっていたが、その中国へ日本から留学していた空海が帰国するにあたって空海の師匠が、この二つの宗派の難解な教義と世界観をそれぞれ見える化した曼荼羅図を(絵師に描かせて)作ったものを空海に持たせたのが「胎蔵界曼荼羅」図と「金剛界曼荼羅」図で、この二種セットで「両界曼荼羅」図と称する。(それぞれ「図」は省略された表現が多い)

    かくして密教は日本においては空海(弘法大師)が真言宗として広め、そのためには両界曼荼羅も利用した。現在では空海が持ち帰った曼荼羅図は無いが、その模倣やアレンジしたものが真言宗の発展と共に作られて多数存在する。

    ※ここで後述部分のご参考までに・・仏教の世界において人のような姿で現すのは、上位から「如来」、「菩薩」、「明王」、「天」の4種のみ。

    「胎蔵界曼荼羅」は「大日経」に基づいたものであり、”真理を実践的側面や現象世界のものとして捉えている”のだそうで、”大日如来の悟りと慈悲と智慧の世界を表したもの”とも言われる。

    中心部には大日如来を囲んで4体の如来と4体の菩薩の計9体が座しており(下図右の9マス)、その周りに二重、三重に明王や天が取り巻いている。
    .
    ↓「胎蔵界曼荼羅」図の例 (右は中心部の9体の名)(図はWikipediaより)
    taizoukai

    「金剛界曼荼羅」
    は「金剛頂経」に基づいたものであり、”真理を論理的側面や精神世界のものとして捉え、
    大日如来の悟りを開くための方法を説いたもの・・と言われる。.

    大きく見ると9個のマスが存在して、さらに各マスの中にも9個のマスが存在する。

    ↓「金剛界曼荼羅」図 (大きな9マスには各々名称がある) (図はWikipediaより)
    kongoukai

    ここまで述べますと・・大谷翔平のマンダラチャートを一度でもご覧になった方はピンとくるはず・・
    そうです!彼の作成したチャートは金剛界曼荼羅図の構成とよく似ているのです。

    ↓大谷翔平が高校1年時に作成したマンダラチャート
    (再掲)
    ohtani-mandara (2)

    ◎「マンダラチャート」とは
    ”人生とビジネスを豊かにするために、ブッダの知恵を元にした思考法と曼荼羅図を元にした(←開発者の言)”中心核を持つ3x3または9X9のフレーム(マス)を使うことによって”求めたい事や知りたい事などが視覚化(見える化)”されてよく分かるようになるという手法となり、事業計画、人生設計、新商品開発などに適用できるとして、このフレームを「マンダラチャート」と名付けてそれを利用する手法を松村寧雄氏((株)クローバ経営研究所 社長)が1979年に開発して提唱したもの。

    ↓「マンダラチャート」(9X9)基本図(マンダラチャート協会のHPより)
    chart99

    この「マンダラチャート」手法は難しい決まりは無く、使い方は大谷翔平の作成した「マンダラチャート」を見れば説明は不要なほど簡単。ただし上図の”中心部の8色の丸=外周部の8色の丸”の中身に当たる言葉を考え、探し、見つかりにくい場合はなんとか絞り出すこと、その後8X8=64のマス目を言葉で埋める場合も同様の作業が必要ですが、達成すれば”目的・目標とそれを実現するための方法・手段”あるいは”大きな事柄を構成する諸要素は何なのか”あるいは”大問題の要因や解決要素”などが明確に見えるようになる。

    「マンダラチャート」手法の普及を目指して「一般社団法人マンダラチャート協会」が立ち上げられて、「マンダラチャート」は商標登録されています。この協会は多様なプロモーションを展開して、チャートの使いこなし講習会なども行っている。

    マンダラチャート協会のホームページ・・・
    https://mandalachart.com/

    お気づきのように、マンダラチャートのマス目は、大きな四角の中に縦に8本の線、横に8本の線を引くだけで作れますから自分でも簡単に描けます。しかし、これをいつでもどこでも頻繁に使う人などに向けて・・

    (株)クローバ経営研究所からはマンダラチャート用のマス目があらかじめ印刷された「マンダラノート」という商品シリーズが販売されています。

    ↓「マンダラノート」の1例 (A5サイズ版 1センチ厚 6050円)
    mandara-note2
    ↓「マンダラノート」の中身の例
    mandara-note1 (2)

    また「マンダラチャート」と同様の「9マス ノート」使用の手法用に「M9note」シリーズというものも(株)日本写真企画から販売されている。

    ↓「M9note」シリーズの例 (A5版 1400円/ A4版 2400円)
    m9note1
    ↓中身例
    m9note4 (2)
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    次回も曼荼羅(マンダラ)やスゴロクに関連した”思考手法”などについてです。

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    5月5日は「子供の日」またの名は「端午の節句」・・というわけで、空に泳ぐ鯉のぼりを眺め、しょうぶ湯に浸かり、”柏餅”や”ちまき”などを食べる慣習がありますが・・

    tangonosekku

    ◎「柏餅」の「柏」は本当は「槲」
    いわゆる「柏餅」に使われている「カシワ」は「槲」の文字が正しいのですが「柏」が通用してしまっているもので、「柏」は本来「コノテガシワ」という別種を表す文字。

    一般的な柏餅に使われるカシワの葉↓
    kasiwanoha

    カシワの葉が使われる理由は・・カシワの葉は枯れても次の年に新芽が出揃うまでは落葉しないため、「家系が絶えない」「子孫繁栄」など縁起が良いとされたから。

    しかし”端午の節句に食べる(柏餅に当たる)お菓子”は地方によって、使われる葉や呼び名などが異なる。

    それを知ったきっかけは・・今から半世紀以上前のある年の端午の節句の日、私が柏餅を食べている時に、居合わせていた祖母(母方)が、「私が子供の頃は、端午の節句には『がめの葉』というもので包んだ餅を食べたものよ」と教えてくれたからで、祖母は現在の福岡県宗像市で生まれ育った人だから、私は、九州の福岡県では”ちがう習慣”なのだと理解し、後年調べてみたら・・

    ◎「サルトリイバラ」のことを福岡県北部では「がめ」と言う
    “がめの葉”の”がめ”とは「サルトリイバラ」のことで、別名サンキライ(山帰来)、ガンタチイバラ、カカラなどという、サルトリイバラ科のつる性多年生植物で”つる”にトゲがある 秋に赤く丸い小さな実がなる。分布は日本全国、中国、朝鮮半島。

    ↓サルトリイバラ(葉と茎とトゲ)/右写真は葉の裏  (「庭木図鑑 植木ペディア」より引用)
    sankirai-leaf
    「がめの葉」という所以は、葉の形と葉脈が亀の甲羅に似ているから。

    ↓サルトリイバラの葉でつつんだ(挟んだ)饅頭(写真は中村学園大学 栄養科学部HPより)
    gamenoha-moti

    ◎「サルトリイバラ」の葉使う餅(又は饅頭、団子)は近畿、四国、九州にある
    「サルトリイバラ」は「がめ」の他にも地方によって異称があり、そのためにその葉を使った餅または饅頭、団子の名前もちがっている。

    ・福岡県北部・・異称は「がめ」  →「がめの葉」を使った「がめの葉餅

    ・鹿児島県・・・異称は「かからん」→「かからん葉」を使った「かからん団子」

    ・長崎県・・・・異称は「かから」 →「かからの葉」を使った「かから団子」

    ・三重県・・・・異称は「いばら」 →「いばらの葉」を使った「いばら餅」

    ・徳島県・和歌山県・・異称は「いばら」 →「いばらの葉」を使った「ばら巻き」、「いばら饅頭」

    ・高知県・・異称があるか不明だが→「サルトリイバラの葉」を使った「しば餅」

    ・紀伊/四国/南九州・・「異称各種?のサルトリイバラの葉」を使って「五郎四郎餅」と称する地もある

    ・九州の一部地域・・「サルトリイバラの葉」を「だんごっぱ」と言う


    ↓鹿児島県・屋久島の「かからん団子」(日本テレビ系「遠くへ行きたい」2020年放送より)
    包んでいる「かからん葉」を開いた状態。中身の餅が黒っぽいのは、湯がいたヨモギをミキサーにかけたものに黒糖を加えて上新粉と白玉粉でこねて蒸したものだから。(食すのは端午の節句だけではない)
    kakaranmoti2 (2)
    ↓かからん団子を(俳優の松尾諭が)手に持っているところと食べているところ
    kakaran-eating

    ◎なぜ西日本ではサルトリイバラの葉なのか?
    カシワもサルトリイバラも双方とも北海道から九州まで分布していることになっているが、カシワはどちらかと言えば寒冷地を好むため、西日本ではカシワの自生数が少ないことと、もともとサルトリイバラの地下茎は腫物、ニキビなどに効き、葉は風邪の解熱、膀胱炎など効くという効能もあってサルトリイバラの葉が使われるようになった。

    ※実は、このブログにちなんで、千葉県でもサルトリイバラが生えていないものか探し歩いたところ、見つけたので西日本でなくても存在していることが確認できましたが、それでもカシワの葉を使った柏餅しか在りません。

    ↓千葉県で見つけたサルトリイバラ(4mくらいの高さの場所にあるのでズーム写真がボケています)
    tiba-sankirai


    ◎柏餅の関西と関東のちがいは?
    関西・・餅の形が丸く、葉っぱをとれば大福餅のようなカタチ。材料は白玉粉がメイン。
    nisi-kasiwamoti
    (↑「七條甘春堂」のHPより)

    関東・・餅の形はやや平たく、言わばあんこを包んだクレープに近いカタチ。材料は上新粉がメイン。
    east-kasiwamoti
    (↑「湘南菓庵 三鈴」のHPより)

    ◎関西の端午の節句は「ちまき」が多い
    今回のブログの冒頭のイラストで皿の上に柏餅と並んだ「ちまき」。端午の節句にちまきを食べるのは関西が多いのですが、東北、北陸、中国地方も食べるそうで、岡山県ではちまきと柏餅の両方が存在しているとのこと。

    「ちまき」は古代中国の楚の詩人・政治家の「屈原」の命日にあたる5月5日に供養のために備えたのが始まりだそうで、それが日本に伝わって平安時代には普及したとされるが、当時の中国文化の受け皿は奈良・京都であったため関西文化として定着したものの、それが関東などへは'(いわゆる)"下(くだ)らなかった"ものであろう。

    ◎鹿児島県の「あくまき」
    端午の節句に特に鹿児島県で食べられる「あくまき」。”あく”は”灰汁”のことであり、文字通り(木材などを焼いて作った)灰を溶かした水に”もち米”を浸した後、孟宗竹の皮に包んで再び灰汁水で煮込んで作る。
    ↓「あくまき」(きな粉をまぶした状態)(画像は農林水産省のHPより)
    akumaki

    アルカリ性である灰汁はもち米を軟らかくする上に殺菌性があり、保存がきくので、元々は昔の戦の際に食べられていたこともあって、端午の節句に関係付けられるようになったとされる。

    「あくまき」は時に「ちまき」とも呼ばれるように、中国伝来のちまきが鹿児島に伝わってきて、この土地ならではのカタチに変化したもの・・という理由は・・なにしろ鹿児島県は竹林面積が日本一で日本の全竹林の1割以上を占めるほど竹豊富。ならば竹の葉よりも”巾が広くて強い竹皮”を使うべし‥と言うことになったのだろう。竹皮も殺菌力があるし!

    「あくまき」の良さが伝わり、宮崎県や熊本県の人吉、球磨地方でも食べられるとのこと。
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