前々回にカナ点字、前回に漢点字などを主にとりあげましたが、今回は・・
◎色々なモノ、所に点字が・・
・シート状媒体(紙、プラスチック、アルミなど)に・・
(A)点字(凸点)のみ表記・・表と裏の両面に表記もある
(A1)従来型の点字・・裏から突かれて出来る凸点
(A2)特殊加工紙で浮き出させた点字・・熱を受けると発泡して立体になる素材をコーティングした特殊紙を利用して専用プリンターで出来る凸点。この場合、面的加熱して地図などの立体図も出せる。
↓点字と立体(輪郭)地図を組み合わせた例 ((株)アメディアのHPより)
(B)墨字(印刷)と一緒に点字も併記
(B1)墨字印刷面の裏から点字型を押し出して墨字も点字も両方が読める・・これも両面表記がある
(B2) 墨字印刷面の上に透明プラスチックの凸型点字を付着させて墨字も点字も両方が読める
↑(富士通(株)総合デザインセンター発行物)
◎意外に多い点字関連ソフトや機器
現在の日本で点字を読める人が約3万人と決して多くはないが、マイノリティも大切にするばかりでなく、点字の良さも生かそうとして、点字の作成と判読に関しての多様な機器が出現している。
例えば、視覚障がい者が文章やメモを作成する場合に自分の声で入力する方法は楽であるが、その場合に”しゃべる内容が周囲に漏れてしまう”あるいは”しゃべる声が周囲には騒音・雑音になってしまう”ことがあるという欠点を生じるが、”無声で点字入力”すればそれを回避できる。そこで便利なのが・・
・小型点字メモ機「オービット」9万8千円(福祉用品なので非課税)
上のボタンで入力して下の窓に20文字分の点字(8点式)が出る
その他、点字関連ソフトや機器は多い。
・点字変換ソフト・・ワード、一太郎などの文字をテキストデータ化して点字用に変換するソフト。
・自動点訳機・・上記のようなソフトを内蔵して、本やデータから点字を作る。
・点字プリンター(86万3千円)・・ハンマーソレノイドによるインパクト印字(電流が流れると棒が飛び出して、その先端が紙を突いて凸点を作る)
※点字関連ソフトや機器の詳しい情報や視覚障がい関連の最新情報無料メルマガ申し込みは・・
(株)アメディア社のホームページ
(有)エクストラのホームページ
◎糖尿病から失明する人も多い
・糖尿病が原因で起きる視力障害が「糖尿病網膜症」。
※下記データは日本眼科医会や厚生労働省などの間では数値に大きく差異があるので混乱しますが、糖尿病患者も糖尿病網膜症患者も多いということです。・・一応数字をあげると・・
・糖尿病患者数・・1000万人(他データで1620万人や2000万人)
・現在日本の「糖尿病網膜症」者数・・140万人(他データで300万人)
・日本の「中途失明」など後天的視覚障がいの発症原因トップスリー
(厚生労働省 平成28年)
1位:緑内障:28.6 %
2位:網膜色素変性:14.0 %
3位:糖尿病網膜症:12.8 %
◎中高年齢で「糖尿病網膜症」発症では点字は無理?!
実は、前述の” 後天的視覚障がいの発症原因”は” 50,60才代に限れば糖尿病網膜症が1位”であり、それでは歳をとってから視覚障がい状態になって、いざ点字を習得しようとしても、指先の皮膚は硬くて感覚は鈍くなっていて、しかも新しく学習する能力も減退しているので、それは無理なことが多い。
◎「すこやか食生活協会」の理事長の要望は・・
正確には公益財団法人「すこやか食生活協会」と称する組織の以前の名称は「視覚障害者食生活改善協会」(所在地:東京都中央区日本橋本町)であり、視覚障がい者を対象とした食生活に関する各種情報提供や社会への提案などを行ってきたが平成12年に名称変更するとともに対象を視覚障がい者のみならず各種身体機能が減退したシニアにも広げた。
今から20数年前でまだ「視覚障害者食生活改善協会」と称していた頃に、私はこの協会から何度か呼ばれて伺ったことがありますが、この法人の母体は厚生労働省と農林水産省であり、ここの理事長(推定60才以上)はそのどちらかの省の元高級官吏であったに違いないが、当時の理事長は”眼が不自由”であり、(失礼ながら私の推察では)糖尿病網膜症だったのではないかと思えた。
ある時、この理事長から「我々視覚障がい者は、加熱調理をする時には”炎の出るガスコンロ”などが苦手だから電子レンジは大変重宝しているけれど、加熱時間設定などの操作の際に音声案内が是非欲しいものです」という要望が出された。
それはごもっともな事で、点字判読ができない人向けだけではなく、”加熱時間”を例えば1分20秒など細かい設定をしたい場合、視覚障がい者にとっては音声告示が最も便利。これは電子レンジのメーカーにとっても都合が良く、なぜならば機器の表面には点字を並べるスペースが確保できないから。
その後、”音声案内付き電子レンジ”は市場に出たのだろうか。
◎やはり”音声(聴覚)”による情報伝達は頼りになる
前述の電子レンジの例のように、点字が読めない人に対してはもちろん、情報伝達をするには点字では対応できない場合なども、年齢に関係なく点字よりも音声情報が便利なことは間違いない・・ということで、身近な機器から街なかや交通関連施設・設備などに音声情報提供の例は多い。
横断歩道の青信号時メロディ、駅構内の階段・エスカレーター存在位置案内メロディなどの他に・・
・「コード化点字ブロック」(W&Mシステムズ合同会社)
既設の点字ブロックを活用して音声案内発信機能を付加したもので、アプリをインストールしたスマホのカメラをかざすと、現在地や周辺の情報などを多言語で音声案内。視覚障がい者のみならず外国人(インバウンド)観光客にも便利。
・「快速よむべえ」((株)アメディア)26万円、モニター無し22万8千円、読み上げのみ19万8千円
カメラ部で本や印刷物を読み取り、音声で読み上げ、文字は拡大してモニター画面に表示する読書機。
請求書、レシート、銀行通帳も読める。日本語、英語、中国語、ハングル対応。
請求書、レシート、銀行通帳も読める。日本語、英語、中国語、ハングル対応。
・パソコン画面の音声化ソフト・・電子メールまでも読みあげるタイプがある。
・音声読み上げ式各種測定機器・・キッチンスケール、体重計、血圧計など。
・音声ガイド地図
・視覚障がい者向けGPS歩行支援システム
◎視覚障害がい者への”点字、音声以外の伝達手段”
・切り欠き付き各種カード・・各種カードの種別が触るだけで区別できるようにカードの縁を切り欠いたもので・・テレホンカードは半円、交通系は三角、買い物系は四角の切り欠きを基本とすることがJISにも規定されている。
↓切り欠き3種(E&Cプロジェクト作成)
・触読式腕時計・・腕時計表面の透明蓋を跳ね上げて文字盤の凸文字を指で感知する
・振動コンパス(iphone対応)・・スマホが北を向くと振動する。
(写真はアメディア社のHPより)
◎シャンプー容器とポンプノブ天面のギザギザは・・
現在、シャンプー容器の横腹部またはポンプ容器のプッシュノブ天面にはギザギザが施されていて、視覚障がい者はもちろん、晴眼者も洗髪時には(たいてい)目をつぶるので”一時的視覚障がい者”になるために、手探りでシャンプーと(ギザギザが付いていない)リンス(コンディショナー)は区別できる。この”ギザギザ付け”は1991(平成3)年に花王が発案して採用開始したが、他社にも同様のギザギザを施して統一することを提案した結果、現在各社製品に採用されている。
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その他、国政選挙などでは点字による投票ができることになっていますが、これを含めたユニバーサルデザイン関連については、また後日にとりあげます。
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