徒然G3(ツレヅレジイサン)日話秘話飛話

兼好法師ならぬ健康欲しい私がつれづれなるままに お伝えしたいこと綴ります。 時には秘話もあり!

    ジャンルは不特定で硬軟織り交ぜながら 皆様に何かお役に立てば幸いです

    2022年07月

    このブログ発信時点では、ウクライナの港からの農作物輸出が再開されるかどうか怪しい状況で、この先どうなるのか? 船舶による輸送が滞って倉庫には小麦だけでなくヒマワリの種と油までも大量に滞留しているので世界的な食糧危機を招いているが、一方、航空機による物資輸送にも支障がでているはず。

    私は、チェリノブイリ原発と、ただ1機しか存在しない世界最大の輸送機「アントノフAn225」がウクライナにあったとは知りませんでしたが、報道写真で”ロシア軍によって破壊されたアントノフ機の無残な姿“を見てショックを受けた。

    破壊されたアントノフAn225(朝日新聞デジタルより引用)
    broken225

    アントノフAn225には一回り小さいアントノフAn124が存在することは私も知っていたので、225破壊のニュースばかりの中、124は大丈夫だったのか心配したが、これも残念ながら225近くに駐機していたので一部損壊していることもその後に知って二重にショック! しかしウクライナにはAn124が7機もあり、無傷のものもあるそうで少し安心した。

    この2機種はその大きさゆえに”チャーターされて”緊急かつ大量または大型の物資”輸送に世界的に大活躍していたので、これから困る企業や地域、国が出てくるのではないかと気になるところ。 この2機種の概要とその活躍とは・・

    ◎世界最大輸送機「アントノフAn225(愛称:ムリヤ/ムリーヤ)」
    全長84m/全幅88.7m/最大積載量250t/最大離陸重量640t/エンジン6基
    Antonov225all
    An225(Wikipediaより)
    車輪の数がすごいAn225!(Automotive media ResponseのHPより)
    antonov20rin

    An225の活躍例
    ・2008年:サモア沖地震被災地への救援物資輸送
    ・2010年:ハイチ大地震復興支援物資等輸送(日本の防衛省がチャーター)
    ・2011年:東日本大震災救援物資150トンの日本向け輸送(フランス政府がチャーター)
    ・2020年:中国・天津からの医療品をカナダへ輸送

    ◎大型輸送機「アントノフAn124(愛称:ルスラン/ルスラーン)
    全長68.96m/全幅78.3m/最大積載量150t/最大離陸重量405t/エンジン4基 
    (エンジン1基は4トン、主翼の中のタンクには燃料のケロシン25万リットル、荷室床はチタン製、30トンクレーン内蔵)

    An124(以下写真4枚はディスカバリーチャンネルテレビより引用)
    antonof2 (2)

    An124の活躍例
    ・1999年:広島電鉄5000系車両輸送
    ・2003年:自衛隊イラク派遣関連物資輸送
    ・2010年:自衛隊海外派遣に伴う重機、ヘリコプター(チヌーク)輸送
    (防衛省は自衛隊海外派遣に伴うチャーターをその他多数回行っている。) 
    ・2011年:東日本大震災時の福島第一原発事故処理用の注水ポンプ車をドイツから輸送。
    ・2014年~:ボーイング787型機の一部製造担当の日本工場への機材や部品の輸送に頻繁に飛来。 (中部国際空港着)
    ・NASAや三菱電機の人工衛星の運搬に多用されている。
    ・(発生年不詳)世界最大の風力発電機メーカーであるヴェスタス社(本社:米国コロラド州デンバー)が直径67メートルの風車の発電機を受注したが、そのブレード(羽根)(1枚30数メートル)の”成型用の型”が中国の上海にあったものをデンバーに戻す必要が生じ、しかも納期の関係で短時間に実行するためにAn124をチャーター。その結果チャーター発注から72時間で到着(飛行距離約1万キロ)。もしこれが船便なら1ケ月半から2ケ月かかるもの。
    ブレード成型用の型の輸送に使われたAn124
    antonof1 (2)

    上海から米国デンバーへの途中An124の機中から見えた富士山
    antonof-mt-fuji1 (3)

    デンバーに到着した”風力発電機ブレード成型用型”(長さ30数メートル)をAn124後部から引き出す作業(この機種では積載物の出し入れは機体頭部からもできる)
    antonof-windgnrtor (2)

    ◎An225、An124参考
    ・An225は旧ソ連において”ソ連版スペースシャトル「ブラン」”を運搬するためにAn124(1982年初飛行)をベースにして大型化し、ブランを背負うかたちになるようにアントノフ設計局が設計して作られ、1988年に一度だけ飛行したが、ほどなくソ連崩壊により、その役目は終わった。

    ブランを背負って飛ぶAn225(米国ではボーイング747がスペースシャトルを背負って飛行)
      (vasily koba wikimediaより引用)
    buran-0n-255

    ・ソ連崩壊後はAn225や124をウクライナの「O.K.アントノフ記念航空科学技術複合体」が所有と開発を行っていて、子会社の「アントノフ航空」がAn124と225を大型積載物輸送用にチャーター機とするビジネスを展開している。

    ・An124はソ連時代からの生産累計は56機で現存は52機。内26機はロシアが軍用機として使用中。残り26機が民間用で、7機がウクライナのアントノフ航空所有。12機をロシアのヴォルガ・ドニエプル航空が所有。このヴォルガ・ドニエプル航空のAn124は2010年の自衛隊海外派遣に伴う重機、ヘリコプター輸送時やボーイング社の787日本製造工場への部品等輸送などにチャーターされている。

    ロシアによって破壊されたAn255は修復不可能だが、実は別に同型のもう1機が70%まで製造途中だったのでこれを完成させるとウクライナ政府が発表している。

    ・超大型機のため対応空港が限られるが、日本では成田、仙台、中部(セントレア)などの空港、米軍横田基地にも飛来している。中部国際空港は途中給油目的の場合も多い。米軍もチャーターすることが多くて横田にも多い。

    ◎世界の大型輸送機比較表 (Wikipediaより)
    An124と225が登場するまでは米国のロッキード(現、ロッキード・マーティン)社のC5B(愛称:ギャラクシー)が世界最大輸送機だった。
    giant-plane
    ・・・・・・・・・・・・・
    ロシアによるウクライナ攻撃が早急に停止されて、アントノフ航空は勿論、今は利用が避けられているだろうロシアのヴォルガ・ドニエプル航空も加わって再び世界の重要な物資輸送のためにAn225と124が飛び回る日が待たれる。
    ・・・・・・・・・・・・

    近年、なにかと「持続可能性(サステナブル)」が重視される中で、かつて日常的によく使われていた素材が主に石油由来のものに置き換わってきたものの、持続可能性があるゆえに再び復活して採用されることが増えてきた。その例として”私的に注目するもの”を少しとりあげてみた。

    ◎「セロハン」再登場
    つい最近のこと、ある集会で出されたお菓子の中に”ひとくちチョコレート”あり、手にとってみたら透明な包み紙のなんとなく指先にしっとりと馴染むような懐かしい感覚は・・もしかしてセロハンか?と思ってよく見ると、透明な中に一部文字印刷で「個包装紙:セロハン」とある。「やはり」と思うと同時に、このセロハンの触感を知らない若い人たちは多いだろうとも思えた。
    choco1 (2)
    包み紙をのばすと「個包装紙:セロハン」と印刷あり
    IMG_20220712_0001 (2)

    セロハンの製造工程は・・木材→パルプを粉砕してセルロース→水酸化ナトリウム、二硫化炭素を加えてビスコースになる→スリットを通して薄い膜→硫酸で中和→セルロースに戻る=透明なセロハン紙・・となる。

    ※セルロースは植物の細胞壁や植物繊維の主成分であり、全ての植物の1/3の量を占めることになり、これは地球上でもっとも多く存在する炭水化物。

    ※ビスコースをスリットではなく、細い穴から繊維状にとりだしたものが「レーヨン」(別称:ビスコースレーヨン)

    セロハンの特長と用途
    ・透明、光沢。
    ・非帯電性でゴミや埃が付かない、細菌通さないなど衛生的→食品包装材料
    ・飴などを包んで両端をねじったものが勝手にほどけない。
    ・紙なので古紙リサイクルできる。
    ・土やコンポスト処理では水と有機物に分解される。
    ・燃焼時の発熱量はプラスチックより少なく、有害ガス出ない。
    ・袋などにした場合、端から裂けやすく開封しやすい(場合によっては弱点にもなるが・・)

    セロハンの弱点
    ・吸水すると軟化してフニャフニャになる
    ・乾燥しすぎると脆く、破れやすい。
    ・熱で反る。

    ※弱点対策品として「防湿セロハン」があるが、これは普通のセロハンの表面にポリ塩化ビニリデンを塗布したもので、こうなると純植物性ではなくなる。

    このように、セロハンは、適正に管理された木材供給源からなら持続的に得られる原料で作られるモノであり、その他の地球にやさしい長所も活かし、弱点を考慮しながら再び採用すべきものだろう。

    ◎「カポック」は”エコ重視時代”に再注目で登場?!
    観葉植物として普及しているカポックですが、日本にはいつ頃から存在しているのだろうか?
    kapok-real (3)

    私がカポックという植物を知ったのは1960年代前期(昭和30年代後半)に、「カポック・コーン」採用のスピーカーといううたい文句でフォスター電機(株)(当時のブランド名は「FOSTER」、現在は「FOSTEX」※)から「FE-201」などの品番の商品の広告が電気雑誌に頻繁に掲載されていたからで、ただし当時はカポックがどういう姿をしているかなど知らなかった。

    コーン部(振動板)にカポック採用のFOSTER FE-201 20センチ口径ダブルコーン フルレンジスピーカー
    foster-fe-201
    話は少しそれるが、フォスター電機という会社は技術力が優れ、ソニー、ヤマハ、ゼンハイザーなど多数の大メーカーのスピーカーを製造している(いわゆるOEM)し、全世界の自動車の車載スピーカーの10パーセントは同社製。それゆえに早くからスピーカーのコーンの材料の研究開発にも取り組んだのでカポックも60年近く前には採用していたわけで、現在は例のケナフも当然のように使用しているのだそうだ。

    ところで、以前に紹介したイタリアのソナス・ファーベル社の製造するスピーカーのコーンの一部には”ケナフが使われている”と紹介しましたが、同時にカポックも使われているとのこと。
    speaker (2)

    さて、カポックのいかなる部分を使っているのか・・それは大木になってできる”長さ20センチくらいの紡錘形の実の中の種のまわりに綿のように着く繊維”。・・ということは、木を伐採せずに実だけを使うのでサステナブル・・というところが素晴らしい!
    kapok1

    kapok2

    kapok3

    最近、カポックを積極的に活用する会社が注目されている。それが「KAPOK JAPAN(株)」(社長:深井喜翔)。
    同社の活動趣旨は・・「生産者、消費者、地球環境、全てに無理のない形を模索しながらサステナブルで機能的な素材を世界中に届ける」 (上の3枚のカポック写真は同社公式サイトから引用)
    https://kapok-japan.com/

    従来、カポックの繊維は短くて衣料用の糸に向いていなかった弱点を、旭化成との共同開発で解決して、シートやコートの製造をしていて、順次商品陣容を増やす計画。

    ◎復活して欲しいモノ(1)経木(きょうぎ)
    経木とは木材を薄く削った板で、元は経典を写すのに高価な紙の代わりに使われたのでこの名が付いた。厚みは1ミリ~0.05ミリくらいで、厚いものは駅弁などの折箱などに使われ、薄いものは昔は食料品店などで品物を包んで客に渡されたりした。材質は杉、檜、赤松などが使われた。

    経木(一例:赤松材15×51センチ 100枚3618円)(ヤフーショッピングサイトより引用)
    kyougi-fjpg
    厚手の経木使用の”わっぱ”(128×50ミリ 10個1990円税別)(モノタロウサイトより引用)
    kyougi-wappa
    経木が食品に使われたのには訳があり、殺菌力、抗菌性、吸水性、保湿性があるから。そして廃棄しても土に戻ったり、バイオマスにも使える。もちろん石油由来でもない・・ということで近年再登場の動きあり。

    私が個人的に切望するのは、”経木に包んだ納豆”であり、理由は”納豆と経木の香りが絶妙に合うから”で、現在のような無臭の発泡スチロール容器に入ったものはもちろん、昔のように”わらずと”に包まれて”わら”の匂いが勝ってしまっているのもダメ。発酵食品の権威である小泉武夫氏も”経木に包んだ納豆は味がワンランクアップする”と言われている。

    私が子供の頃は、毎朝に納豆売りの少年が「ナアットナットーナットー」という発声で路地をまわっていた。
    その納豆は一辺が10センチくらいの正三角形になるように折りたたんだ経木の中にくるまれていた。量としては100グラムぐらい? いや当時はまだ尺貫法時代だから30匁(112.5グラム)だったかも知れない。

    その香りからすると経木は杉ではなかったが、檜なのか赤松だったのかわからない。しかし納豆には赤松材が最適らしいが、赤松は松茸のモトだから悩ましいものと思ったら、計画伐採によって赤松の経木はけっこう多く使われているようだ。

    小泉氏自作の経木三角折り納豆を開いた様子
      (「丸ごと小泉武夫マガジン」より引用)
    natto (2)

    余談だが、今の納豆はおいしいものが少ない。それは原料の大豆をなぜか小粒にしてしまっていることが大きな原因で、納豆は大粒のほうが旨い。ということを周囲に広言していたら、いました同意の人が・・俳優の中尾彬が「納豆は大粒に限る!」と、食通の氏が言うから心強い。

    ◎復活して欲しいモノ(2)竹の皮
    以前のブログでも言及しましたが、竹林保全とエコ的有効利用のためにも竹の皮は大いに使うべき。その竹の皮の特長は防腐性、抗菌性、通気性あることなど。これも前出の経木と同様に昔は食品関連に多用されていたものの現在はプラスチック類に代替されてしまっているが、非石油由来素材としても再登場必要。
    竹の皮:長さ47~50センチ、巾12~14センチ(Amazonサイトより)
    bamboo
    しかし、昔から変わらずに竹皮を使っている例がある。それは「のし梅」と称する和菓子。これは半透明の琥珀色した厚さ3ミリほどの羊羹のような食感の梅の香りする甘酸っぱい味の菓子で、これを2枚の竹皮で挟む格好となっている。私の知る限りでは茨城県と山形県で作られているようだ。実はこの和菓子、私の大好物。
    nosiume1 (2)
    竹皮寸法は長さ15センチ、巾4.5センチ
    nosiume2 (2)

    この半なまのような菓子は、防腐性や抗菌性をもつ竹皮が必須だったのでプラスチック素材は不採用になったと考えられる。ちなみにカマボコのかまぼこ板の役目の一つは、製造直後の余分な水分吸収(その結果、カビや細菌の繁殖抑止)と、その後のカマボコ本体の乾燥防止のために逆に水分補給するという水分調整なのでプラスチックは使えないという点では”のし梅”の竹皮採用のケースと似ている。
    ・・・・・・・・・・・・
    ※「フォスター電機」の前称は・・「信濃音響」・・ついでに電気・電機各社の前称は・・
     「パイオニア」←「福音電機」・・創業者:松本望の父が有力なキリスト教宣教師
     「ソニー」←「東京通信工業」
     「シャープ」←「早川電機」・・創業者:早川徳次がシャープペンシルの発明者
     「富士通ゼネラル」の「ゼネラル」
    「八欧電機」
     「アイワ」(現在は十和田オーディオの子会社)←「愛興電機」
     「パナソニック」←「松下電器産業」
     「オムロン」←「立石電機」
    ・・・・・・・・・・・・・

    このページのトップヘ