◎きのうの友はきょうの敵
現在、ポーランドはロシアと戦うウクライナ支援をしているので間接的にはロシアに敵対しているようなもの。しかしロシアがソ連(ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国)だった時代の1957年10月4日に人類初の人工衛星「スプートニク1号」打ち上げに成功して以降、矢継ぎ早に打ち上げられた草創期に、それを讃えるようにポーランドはソ連の人工衛星図柄の切手を発行していた。それを思うとなにやら「きのうの友はきょうの敵」のような感じですが・・
◎「ソ連の衛星国」という立場や「ワルシャワ条約機構」が影響?
実は、同様に”ソ連の人工衛星を讃えた切手”を発行した国々が他にもあった。それが何か国にのぼったのか正確には知りませんが、少なくとも私が当時集めた切手から分かることは・・
ポーランド以外では・・ハンガリー、チェコスロバキア、東ドイツ、北朝鮮
↓ハンガリー(切手での国名表記は”マジャール人の国”として「MAGYAR」)
(下の3枚は人類初の有人宇宙飛行にソ連のボストーク1号に乗って成功したガガーリンとボストーク3,4,5,6号:1966年12月29日の発行切手)(画像3枚はヤフオクより引用)
↓チェコスロバキア(チェコとスロバキアに分離する前)
↓東ドイツ(人類初衛星成功の1957年10月4日の日付も右下に明記)
これらの国の内、北朝鮮以外は「ソ連の衛星国」と言われ、かつ「ワルシャワ条約機構」の加盟国だったという共通の立場だったのです。(他に「コメコン」=経済相互援助会議という組織もあったが実際には機能しなかった)
◎「ソ連の衛星国」とは・・
まず「衛星国」とは、”一応は独立国家でありながら、大国によって主権を制限されて従属的な国”。
「ソ連の衛星国」はポーランド、ハンガリー、チェコスロバキア、東ドイツ、ブルガリア、ルーマニア、アルバニア、モンゴル。
◎「ワルシャワ条約機構」とは・・
”平和と社会主義のための、友好・協力・相互援助に基づく軍事同盟”で、ポーランドの首都ワルシャワで調印された故の名称だが本部はモスクワにあった。ワルシャワ条約機構加盟国は、盟主であるソ連、ポーランド、ハンガリー、チェコスロバキア、東ドイツ、ブルガリア、ルーマニア、アルバニア。
”平和と社会主義のための、友好・協力・相互援助に基づく軍事同盟”で、ポーランドの首都ワルシャワで調印された故の名称だが本部はモスクワにあった。ワルシャワ条約機構加盟国は、盟主であるソ連、ポーランド、ハンガリー、チェコスロバキア、東ドイツ、ブルガリア、ルーマニア、アルバニア。
「ワルシャワ条約機構」成立に先立つ1949年4月4日に自由主義国間に「北大西洋条約機構」(NATO)が発足したことへの対抗は明らかだが、「ワルシャワ条約機構」の実際の機能は、同盟国=衛星国から抜け出そうとして事件や動乱が起きた国に対してこれをソ連を主体とした武力で鎮圧して離脱阻止するものだった。
この機構は1955.5.14から1991.7.1まで存続した。(ソ連の正式な崩壊は1991.12.26)
ということは・・この機構が発足して間もない2年後にソ連による人類初の人工衛星打ち上げが成功したことになり、これは社会主義体制の優秀さの表れであるとして喜び、機構加盟国にとってはまさに”同慶の至り”ゆえに、祝いの切手を発行したのか、それとも”親分”への忖度だったのか?。
◎かつてソ連の衛星国で現在はNATOとEU加盟の国
1991年のソ連崩壊以降、ソ連に従属することから転向してNATOとEUに加盟した国は・・
チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロバキア、ルーマニア、ブルガリア。アルバニアはNATO加盟だがEUには未加入。
◎「トゥヴァ」(または「タンヌ・トゥヴァ」)という国をご存知?
私が小学生の頃、収集した切手の中に”菱形”の珍しい1枚があって、それには「POSTA TOUVA」という表記があり、切手情報誌によれば「タンヌ・トーバ」(現在の一般表記と少し違うが)というモンゴルに接する国が発行したものと分かった。
今回、調べ直したら、「トゥヴァ」はモンゴル北西部に接する国で1921年に「トゥヴァ人民共和国」(それを表記すると「タンヌ・トゥヴァ」)として独立。しかしこの国はソ連による傀儡国であり、世界ではソ連とモンゴルのみが国として承認したものだったので1944年にはソ連に併合された。その後1991年のソ連崩壊後に独立権を得たが、他の衛星国と呼ばれた国々と異なり、新しい「ロシア連邦」の一員となる路を選んで「トゥヴァ共和国」として存在している。
上の菱形切手は「トゥヴァ人民共和国」時代に1926年から1936年の間に発行されたもの。
◎ソ連の人類初人工衛星の成功記念切手を私はもってないが・・
他の初期の衛星切手とともに「ツィオルコフスキー」を讃える切手がある。ツィオルコフスキー(1857~1935)はロシア帝国時代からソ連に至る時期に存在した物理学者、数学者、SF作家であり、ロケットの基礎理論を産み、人工衛星登場を予測したりで「宇宙飛行の父」と呼ばれた人物。
余談ですが、私が外国の歴史的事件発生を年月日まで覚えているのは、ソ連が人類初の人工衛星打ち上げに成功した1957年10月4日の他はフランス革命が始まったとされる1789年7月14日と米国が英国からの独立を宣言した1776年7月4日ぐらいで、それくらいに私の中では人工衛星登場が衝撃的だったのです。
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