徒然G3(ツレヅレジイサン)日話秘話飛話

兼好法師ならぬ健康欲しい私がつれづれなるままに お伝えしたいこと綴ります。 時には秘話もあり!

    ジャンルは不特定で硬軟織り交ぜながら 皆様に何かお役に立てば幸いです

    2022年05月

    5月半ばの今、ハコネウツギの紅白の花が咲いている。この赤と白の色を見て連想するのは、”かつてロシア革命時期には赤系と白系の人たち?がいた”・・ということ。
    ハコネウツギの花(正確には赤ではなく濃いピンクだが・・)
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    ◎ロシアから亡命した「白系ロシア人」
    「白系ロシア人」とは、1917年に労働者や農民によってロシア革命が起きて帝政が終わり、レーニンが主導する社会主義体制にしたものの、対抗する反革命勢力も生まれて、これを掃討するためにトロツキーによって編成された「赤軍」と反体制派の「白軍」が3年間戦った末に「赤軍」が勝利したが、革命直後から白軍敗戦直後にかけて、それまで帝政側にいた貴族や富豪、一部市民らは他国に亡命した。

    その亡命した人たちが「白系ロシア人」と呼ばれ、その総数は約200万人と言われる。

    ちなみに、現在のロシアには居られないとして”ロシアから脱出したロシア人”は今年1~3月の間に388万人に達している。

    ※革命後のロシアがソ連(ソビエト社会主義共和国連峰)として建国宣言したのは1922年12月30日であり、国際的に国家承認されたのは1924年2月1日なので、革命直後から国家承認されるまでの約7年の間に亡命した人たちは"ソ連人"ではないので、白系の"ロシア人"と呼べることになる。

    ◎日本に亡命した白系ロシア人
    白系ロシア人の多くは西側ヨーロッパに向かったが、日本にも若干数の人たちが来て定住した。1936年(昭和11=2.26事件起きた年)の内務省調査では、日本在留外国人数は4万865人。その内の白系ロシア人の数は1294人で横浜や神戸に住んでいる人が多かった。

    白系ロシア人の中でも日本で活躍して名を残した人たちは・・

    〇 スタルヒン(1916~1957)
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    日本のプロ野球の草創期において投手として巨人軍などで活躍し、生涯通算303勝・176敗。父はロシア帝国の将校だったので革命後は白軍に加わったが結局は亡命してシベリア経由で妻とスタルヒンを連れて北海道・旭川にたどり着いて、そこでスタルヒンは育ち、学生野球の投手として有名になるまでになっていたものを、当時始まった日米親善野球での日本側の弱体を打開するために引っ張り出されて(同目的で引っ張りだされたのが沢村栄治)、以後彼は有名になった。しかし40才で事故死するまでも日本国籍を得られず無国籍だった。彼の最初の妻も白系ロシア人だった。

    〇 モロゾフ(フョードル・ドミトリエヴィチ・モロゾフ:1880~1971)
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    ロシア革命後に亡命してきて神戸で、ある人から出資を受けて「神戸モロゾフ製菓」を創業。しかしその後に出資者と対立して裁判の結果、退社を余儀なくされた上に「モロゾフ」の商標も使用できなくなり、以後の経営は出資者側が行って現在の菓子メーカー「モロゾフ(株)」に至っている。モロゾフ氏側はその後に息子が「バレンタイン製菓店」開業し、戦後「(有)コスモポリタン製菓」と改称。しかし、こちらの会社は2006年に廃業した。

    モロゾフ氏は創業翌年の1932年には”バレンタインデーにはチョコレート”を推奨して、これが日本最初と言われているが、「メリーチョコレートカムパニー」も同様に最初とされていて、決着不明。

    〇 ゴンチャロフ(マカロフ・ゴンチャロフ:生没年不詳)
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    ロマノフ王朝の宮廷菓子職人だったため、革命後に日本へ亡命。1923(大正12)年に神戸にてチョコレート工房を創業。日本最初のウイスキーボンボンを製造販売した。しかし1934(昭和9)年に退社してその後は不詳だが会社は存続して現在の「ゴンチャロフ製菓(株)」に至っている。

    本人ではなく父親か母親が白系ロシア人の人たち
    〇 大鵬(1940=昭和15年~2013=平成25年)
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    父はロシアのウクライナ・ハリコフのコサック騎兵将校だったが、コサック兵が革命新政府に対して最も抵抗したため、赤軍からの強力な攻撃を受けるのは必至ゆえに
    当時の樺太の日本領に亡命。日本人女性と結婚。生まれたのが後の相撲横綱の大鵬。

    〇 ヘレン・ヒギンス(生没不詳)
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    母が白系ロシア人で父は日本人。1953(昭和28)年に当時の表現として”日本最初の混血モデル”と称されてデビュー。翌1954(昭和29)年~1958(昭和33)年にかけて映画俳優として活躍。その他、テレビ出演もした。

    〇 入江美樹(1944~)(写真は雑誌「マドモアゼル」の表紙:撮影は中村正也)

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    父が白系ロシア人で母は日本人。モデル、女優、ファッションデザイナー。前出のヘレンヒギンスに次いで”日本で2番目の混血モデル”と言われる。夫は指揮者の小澤征爾で息子は小澤征悦

    白系ロシア人だが、ご本人ではなく夫が活躍した・・
    〇 クラウディア・セミョーノヴナ・アポロノワ(生没年不詳)
    満州のハルビン在任中の杉原千畝(多数のユダヤ人の命のビザを発給) から、白系ロシア人ながら見初められて結婚し1919(大正8)年~1935(昭和10)年まで妻だった。彼女が当時の日本の関東軍からソ連のスパイであるとの噂を流されたので、杉原は彼女とその一族のために苦渋の決断をして離婚した。(その後杉原の二人目の妻となるのが幸子=ゆきこ) 
    ↓杉原千畝
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    私が「白系ロシア人」という言葉を最初に聞いたのは小学4年か5年生の頃だったが、それは母からであって「ヘレンヒギンスは白系ロシア人の血が流れているそうよ」というものだったかで、それ以後私は”ヘレンヒギンス本人が白系ロシア人”であると思い違えていた。その上、彼女がモデルだったことから白系ロシア人とは"同じロシア人の中でも特に色が白い人たちのこと"だと勝手に思い込んでいたというお粗末な思考だったのだが、最近になってやっと間違いとわかったというお恥ずかしい次第。

    蛇足ながら・・テレビやラジオで今のような芸能ニュース、エンタメ情報など殆ど無い時代に、私の母はその分野の情報に詳しかったが、私は後年にその理由が分かった。それは美容院でパーマネントをかける際に、店側が用意した週刊誌をミッチリ読んでいたからだったのでした。

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    20年くらい前のこと、仕事上でお付き合いがあった方が離任されるというご挨拶をされた際に「これまでの感謝をこめて自分で作ったモノですが、お受け取りください」と言われて戴いたのが下の写真の竹製「茶さじ」。現在は表皮(下写真の2枚目)が黄味おびた薄茶色に変化しましたが、当時はまだ新鮮な緑色でした。

    ↓戴いた自作竹製茶さじ(横は100円硬貨)
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    ↓同品の裏側
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    その方は東京在住なのですが、千葉県の太平洋沿いのある土地を購入していて、そこに生えている孟宗竹の間伐材を利用して、茶さじを10個くらい作った・・とのこと。

    それは1個作るのにも時間がけっこうかかることがわかるモノで、その方の気持ちが浸みこんでいると感じ入りました。そして竹の茶さじという”ナチュラルでしかもちょっと風雅なにおいのするモノ”をチョイスされたこの方のクオリティ・オブ・ライフがうかがわれるような気がします。

    私は日本茶をよく飲むので、以後20年、毎日この茶さじを使い続けているほどにまことに実用的であり、これを手にするとこれを下さった方のことが想い浮かぶことも多い・・というわけで、これは大きさや金額的価値などとは無関係で、本当に有難い貴重な戴きモノなのです。

    ◎エコを意識した竹の利用技術、製品は以前からあった
    さて、前回までの竹に関するお話で、日本の竹林の状況と竹の特性を見てきますと、これは何とかもっと竹の活用を(初回にとりあげた”日本産のメンマ作り”の他にも)進めるべきだということを考えるようになります。

    ところで、私の手許には今から15年くらい前に入手した”エコ関連のパンフレットやサンプル類”が残っていますが、その中には”竹素材活用”商品も多数あります・・ということはSDGsという題目などが登場するかなり前からも”竹の利用がエコになる”という考えを基にした研究、商品開発・製造する企業、大学研究室、団体が既に多数出現していたことがわかります。

    ↓私の手許に在る、15年前頃の”竹応用製品のパンフレット類”
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    ↓(同時期の)竹フローリング材のカットサンプル
      (150ミリ巾、竹薄板+針葉樹積層板)((株)カリヤ)
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    ↓(同時期の)竹繊維のサンプル
      (毛髪同等の太さだが、引っ張っても伸びず、毛髪よりも切れにくい)
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    ↓有名な「ジグザグチェア」(トーマス・リートフェルト作)の竹製ジェネリック(リプロダクト)商品
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    ◎竹の活用は、ありっタケの知恵で!
    昔から たけのこを食べ、最近は国産メンマも作って食べ、伝統的用具(ざる、かご、くまで、そして焼鳥には必須の串、など)、工芸品などに利用する他に、新しくエコを意識した用途開発をドンドン行うべき、そして最近の研究では”竹抽出エキスにはヒトインフルエンザウイルスの不活性化作用もある”ことが判明したからにはもっと"竹利用の促進!"・・既に以下のような利用事例があるが・・

    〇縦に細かく割った部材を集成材にして・・
    ・竹フローリング材(現在、多数のメーカーが参入)
    ・竹製家具(チェア、テーブル、食器棚など)
    ・内装材(巾木、かまち材、まわり縁など)

    〇縦に大きく割って”雨どいやお菓子の八つ橋のような断面”の状態のモノを特殊な圧力処理をして平たい板にして単板または集成材にする

    〇竹から繊維を取り出して・・
    • 繊維 (竹ファイバー) そのものの商品
    • 竹繊維混入コーン紙のスピーカー(針葉樹繊維より強く、軽いので音域が広がる)
    • 竹繊維主体で木綿・ポリエステルなど少量混紡の布・毛布・靴下(抗菌、防臭、吸湿・放湿、静電気抑止) 
    • 竹繊維混入の和紙
    • 竹綿(わたのようにからませて緩衝材などに)

    〇粉体化・チップ化・ペレット化して・・
    ・各種ボード用、農業用、消臭用材、燃料用に
     ※竹の燃焼カロリーは木材より高く、石炭の7割、重油の5割にも匹敵。

    〇竹炭にして・・
    ・消臭用に
    ・竹炭粉末にして食品添加
    ・竹炭粉末中の残留カリウム利用して肥料の一部に

    〇竹酢(ちくさく)液(一般的には竹炭製造時の乾留と呼ばれる方法で得られる副産物)は・・
    ・園芸での害虫・病害菌の忌避、消臭、農作物用土壌改良、減農薬、入浴剤、蚊などの虫よけ、虫さされのかゆみ消し、食中毒菌滅菌、花粉症治療、健康飲料、ペットの毛のリンス用・・など
    ただし、竹酢液を人体に取り込むまたは直接触れる使い方をする場合には、同じ竹酢でも乾留式の竹酢液よりも「過熱水蒸気処理(←私にはよく分かりません)による竹酢液」のほうが安全とされる。

    ↓竹利用サイクル参考図 (クリックで拡大)

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    (株)テオリのHP http://www.teori.co.jp/shop/jichiku/index.htm より引用

    ◎竹製床材
    竹の集成材(積層材)にした板として利用。竹を材料とするものの中では量的に最も利用されているようで、最近は新築マンションの全戸の床は全てバンブーフローリング採用という例もある

    <竹の床材の利点>
    1. )竹は硬くて耐久性があり、弾力もあるので、一般家庭のみならず店舗(靴の細いヒールや椅子の脚で踏まれることに対応)、脚への衝撃が和らぐために体育館、福祉施設などにも利用される。
    2. )竹は熱伝導率が高いので、夏は冷たく感じ、冬に床暖房の表面に使えば効率が良い。(実際に床暖房用使用実例は多い)
    ↓床材利用例 (「ボード(株)」=東京新宿区のHPより)
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    <竹の集成材には2種類ある>

    A) 横型(横目型)・・円筒形の竹を割って外側部分を表面に並べる
    B) 縦型(縦目型)・・円筒形の竹を割って断面部分を表面に並べる

    ↓竹床用集成材の構造図(断面図) (「ボード(株)」=東京新宿区のHPより)
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    ※どちらの集成材も各メーカーは「竹の無垢材」と称している

    ↓横型集成材の断面(レンガ積みのような線が見える)
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    ↓縦型集成材の断面(縦線のみが見える)
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    上図2枚は「前田木材(株)」=大阪府枚方市のHPより)
    15X90.9X1820mm 10枚セット価格16280円(税込)

    ◎竹製椅子類
    ↓竹集成材を木材とはちがった接合方法で製作した椅子
      59400円(税込)  (「(株)テオリ」=岡山県倉敷市の製品)
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    ↓竹集成材で製作したスツール
       35900円(税込) (「(株)テオリ」=岡山県倉敷市の製品)
    teori1

    ↓竹細巾単板で製作したスツール
     15950円(税込) (「gudee社」=台湾の製品)
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    ↓竹細巾単板で製作したチェア
     108900円(税込) (「PERFORMAX社」=タイの製品)
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    ↓竹集成材で製作した”まわり縁”用材
       (「以奈良場木材(株)」=千葉県成田市の製品)
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    ↓竹炭粉末、たけのこ入り「竹炭カレー」
        (千葉県の「房の駅」(道の駅の類似業態店)で販売)
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    ◎竹製床材の問題点
    ・カビが発生することがある
    竹には抗菌、抗酸化、消臭作用があると盛んに言われるものの、矛盾するように実際の竹材使用においては”カビ”が発生する事例も多いようだ。
    その理由としては・・竹材の持つ性質の内、(A)吸湿・放湿性が高い、(B)イネ科である竹には糖分が多い・・という二つがあることで、竹材からの放湿がうまくいかない場合に、残留水分と糖分が栄養となってカビが発生するとされる。
    使用条件が厳しい竹床材は表面をウレタン塗装またはオイル系塗装しているが、これら表面塗膜が何らかの原因で削除されると、その部分にカビ発生することがある。

    ・竹に限らないが、集成材には石油由来の接着剤が大量に使われる
    現在、集成材を作るために使われる接着剤は4種類あるが、その内で”シックハウス症候群の原因の一つのホルムアルデヒドを放散しない”のは「水性高分子・イソシアネート系接着剤」のみであり、これだけでもその使用量は年間2万トン(2017年)にもなる。いずれにせよこれら接着剤の元は石油なので、その使用量削減あるいは接着剤不使用の方法は無いものだろうか?

    それを言い出せば、竹床材表面処理にウレタン塗装やUV塗装が採用されることが多いが、これら塗料も石油由来。しかし、竹特有の"ささくれ"しやすさ防止のためには
    ウレタンやUVの塗装が必須とは思われるものの、エコな代替処理はないものだろうか?

    竹材では、前述のように・・縦に大きく割って”雨どいやお菓子の八つ橋のような断面”の状態のモノを特殊な圧力処理をして平たい板の単板にする。孟宗竹ならば板厚10ミリは確保容易。

    あるいは、何が何でも竹の集成材を使うのではなく、前出の台湾やタイなどで行われている”竹の単板だけでモノを作る方法”も必要。

    ・竹製品用の竹材は竹林豊富な土地、または自社所有の広大竹林から調達すべき
    現在、日本の竹製品メーカーの一部は、竹材を中国から輸入している。前出のメーカーの「テオリ」社はエコ意識が高い会社だが当初はコスト重視で中国材を利用していたものの、その後自社竹林を持つようになった。同社の在る岡山県は元々竹林面積5435haで全国第10位で竹の多い環境だった。(第1位の鹿児島=17927ha/第8位の千葉=5915ha)※2012年時点データ

    しかし前出の(株)カリヤ社は竹床材の製造を止めてしまった。その理由は竹材を中国産に頼らないで調達しようとして無理があった。なにしろ同社が存在する岩手県は竹林面積248haで全国第41位となる竹の少なさで、竹の多い九州から調達するにも輸送コストが高すぎた。私が同社に確認したところ、「当初から竹材の調達には困っていた」という言葉が返ってきた。

    竹材を中国からにしろ国内の遠隔地からにしろ輸送するということはコストの問題だけではなく、輸送にかかわる船やトラックがカーボンを排出することになるので、その意味でも竹に限らないが地産地消が望ましい。
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    “おまけ”情報
    ◎「地震が来たら竹藪に逃げろ」の教えは△
    竹の地下茎は土中で広く張り巡るようになるので、昔から「地震が来たら竹藪に逃げろ」と言われている。しかし、たけのこ掘りの様子を見ると分かるように、地下茎からニョキっと生えているたけのこの根元は地面から30センチくらい?の浅い位置にあり、”竹の地下茎は浅くしか張らない”ので傾斜地では竹林ごと地滑りを起こす可能性も高く、実際に起きた例もあるそうで、竹林絶対安全とは言えないとのこと。

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    ※訂正:前回の”竹関連の記述”の中で”最近はケナフという素材は全く使われなくなった”と述べましたが、現在でも使用例があることが分かりましたので“ケナフは現在、ごく一部で使われている”・・とします。(前回ブログ文章も一部訂正済み)

    その使用実例は・・
    イタリアのソナス・ファーベル社の製造販売するスピーカーのコーン紙の一部材料としてケナフも使われている。
    ↓ケナフ混入のコーン紙が使われているスピーカー
     (左一対:50万円 / 右一対:90万円)
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