今回は前回にとりあげたROC(ロシア・オリンピック委員会など)と2文字が共通というだけの関連でRCAについてです。
私が知っているRCAには2種類あり、その一つがアメリカの会社・・
◎RCA=Radio Corporation of America
1919年、米国GE(ゼネラルエレクトリック)社から社内起業で独立創業。その名の通り一時は全米各地のラジオ放送局の大半を傘下に収め、自らNBC放送局も経営。
↓初期のRCAロゴマーク
1929年、ビクタートーキングマシン社を買収して「RCA VICTOR」となる。この時点から"犬のマーク"も併用するようになった。
↓RCA Victor時代に使われたロゴと犬マーク(モデルとなった実在の犬の名は「ニッパー」。亡きご主人(HIS MASTERR)の声(VOICE)を聴く姿 (画像はttps://www.flickr.com/photos/bartsol/21439372276より引用)
1929年、ビクタートーキングマシン社を買収して「RCA VICTOR」となる。この時点から"犬のマーク"も併用するようになった。
↓RCA Victor時代に使われたロゴと犬マーク(モデルとなった実在の犬の名は「ニッパー」。亡きご主人(HIS MASTERR)の声(VOICE)を聴く姿 (画像はttps://www.flickr.com/photos/bartsol/21439372276より引用)
1980年代に開発商品の市場投入失敗で巨額損失が生まれ、GE社がRCAグループごと買収。
その直後からGEはNBC以外の事業や犬のマーク、RCA商標権などは複数の他国企業などに売却・譲渡して現在、RCAマークはあまり見られなくなった?。
◎RCAの名を残すピンとは?
RCA社は、世界初の「電気式蓄音機」(今で言えば”音の出るレコードプレーヤー”)発売、後のカラーテレビの一方式となる「NTSC方式の原型」を開発、レコードの作製時・再生時に必要な規格「RIAAカーブ」(内容は説明長くなるので省略)を開発。その他、ラジオをはじめとしたAV機器、「RCAレーベルのレコード」などが製造販売されていた。
しかしながら日本(に限らないか?)で、今でも名前が残っていて、多くの人が使っているのが、同社が開発した「RCAピン」。名前だけではピンとこない方も、下の写真を見ればお分かりのはず。テレビとAV機器をつないだりする場合などに使われています。
↓RCAピン(左)普通タイプ (右)金メッキした高品質タイプ
※機器の裏側などにあってRCAピンを受け入れる端子をRCAジャックとも言う。
◎マイク(マイクロフォン)の発達に貢献したRCA
マイクの最初はエジソンも手掛けた「カーボンマイク」(中に炭素の粒を封入したもの)だったが、1930年代初頭にRCAが「ベロシティ(別称リボン)マイク」という”電極の間に薄い金属製のリボンのようなモノを配置した構造”のマイク「RCA 77A」を開発して、一気にマイクの音質が向上した。
RCAはその後もマイクの改良と用途別の品種追加開発を重ね、1932年以降に「77型」の廉価版として出した「RCA 44A」、「RCA 44B」、「RCA 44BX」が普及した・・というわけで、日本でもNHK技術研究所と東京芝浦電気(東芝)がRCAへ特許料を払って、「RCA 44BX」をモデルにしたベロシティマイク「東芝A型」を1937(昭和12)年に開発。形状は「RCA 44BX」の完全コピーとしか見えない。
実は、この「東芝A型」マイクは1945(昭和20)年8月15日の玉音放送のための天皇の声を事前に録音するために使われ、音声はレコード盤(予備を含めて2枚)に収められて、これが当日に再生されて流された。(つまり、玉音放送は天皇のライブ音声ではなかった)
※マイクはその他にも種類があり、ドイツのノイマン社なども有名だが今回は割愛します。
◎RCAに繋がる、今のJVCKENWOOD
1927(昭和2)年 ビクタートーキングマシン社(2年後、RCAに買収された)の日本法人として日本ビクター蓄音機(株)発足。
1938(昭和13)年 RCAビクター社が資本撤退すると同時に日本ビクターが日本国内における犬のマークとビクターの商標権を取得。これによって"犬のニッパー"のマークは米国のRCA Victor社と日本の日本ビクター社の双方で使用される状態になった。
以後、日本ビクター社は電気式蓄音機(上蓋を開ければ内側には犬のマークが入っていた)、ラジオ、テレビ、ビクターレコードなど手掛けていたが、一時経営不振で松下電器(現パナソニック)傘下に入っていて、その時期に開発したVHS方式ビデオは世界的なレベルでの普及シェアで優位に立ち、ベ-タ方式を駆逐した。その後松下電器傘下から離れて特色あるオーディオ機器などを世に出してきた。
2008(平成20)年 日本ビクター社とケンウッド社は共同持ち株会社のJVCKENWOOD社となった。KENWOOD社は前名称の「トリオ」社時代からオーディオ製品の他に、アマチュア無線用の通信機器メーカーとして現在も確固たる存在。
日本のビクターマークの変遷は・・
◎参考品:67.5ボルト電池使用のRCA携帯ラジオ
下の写真は私の手許に在るRCA VICTORと名乗った時代に発売のポータブルラジオ(MADE IN USA)だが真空管(4本使用)式なので、67.5ボルトと1.5ボルトの乾電池・各1個で動作した。1950年代後半の製造か?’(大きさは約だが横19 縦14 奥行5センチ)
このラジオ、私の父が友人から譲られたモノだったが、ある時に私があの高尾山に登る機会があって、父から借りて携帯したのだが、ほとんど放送を受信できずにがっかりしたことがあった。東京都区内では問題なかったものだが、当時のラジオの感度はこんなものだった。
今は中身を私が分解してしまって本体内部は空になっている。
このラジオ、私の父が友人から譲られたモノだったが、ある時に私があの高尾山に登る機会があって、父から借りて携帯したのだが、ほとんど放送を受信できずにがっかりしたことがあった。東京都区内では問題なかったものだが、当時のラジオの感度はこんなものだった。
今は中身を私が分解してしまって本体内部は空になっている。
↓(上の一部拡大)RCAマーク、RCA Victor、犬のマークの揃った複雑な表示
※67.5ボルト電池はいわゆる「積層電池」で、中身は1.5ボルトの小さな電池ユニット45個を積み重ねたもので、外形寸法は8X7X4センチくらい。日本でも普通に買える時期があって、私も購入経験はありましたが、現在は入手困難。しかし秋葉原やネットで中国製などがわずかに出回っているそうです。
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追記:世界的なレコード販売店展開のHMVは、その名前の由来が「His Master’s Voice」の頭文字をとったものだとのことで、今の今まで私は知りませんでした!
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次回は、もう一つの「RCA」についての予定です。
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