徒然G3(ツレヅレジイサン)日話秘話飛話

兼好法師ならぬ健康欲しい私がつれづれなるままに お伝えしたいこと綴ります。 時には秘話もあり!

    ジャンルは不特定で硬軟織り交ぜながら 皆様に何かお役に立てば幸いです

    2020年11月

    「鬼滅の刃」ファンの皆さん御免! 表題の「真菰」とは、鬼滅のストーリーの中に出てくる少女の「真菰」ではなく、植物の「真菰」のコトなのです。「なんだ!ダマシか!」と言わずに、まあ お読みください!

    今回は納豆関連の第3弾になるもので、実はその題名として決めていたのは・・
    「納豆作りはマコモ、ススキ、出刃包丁、ヨーグルトメーカーで?!」だったのですが
    「鬼滅の刃」に「真菰」の名が出ていることを知ったので急遽題名変更したわけで、悪しからず。

    前編でも述べましたように、納豆作りの基本は大豆と納豆菌に適温と適湿度があればよいもの。その納豆菌が自然に存在している材料として昔から圧倒的に使われてきたのが“稲藁(ワラ)”で、現在でも“藁づと”に包んだ格好で、ごく一部のメーカーで作られています。しかし今は人工的に培養された納豆菌を使って、“藁(わら)づと”を使わずに製造されることがほとんどです。
    ↓〈
    藁づと〉に入ったまま売られている納豆
    warauto

    ところで「納豆菌」は日本だけで使われる呼称で、本来は“枯草(こそう)菌”と呼ばれるもので、稲ワラ以外の特に“イネ科” の植物の“真菰(マコモ)”※や“ススキ”などにも存在するので、最近、これらを使っての納豆作りの試みが出現しています。

    ※真菰(マコモ)とは・・イネ科の多年草で日本では全国の沼、湖、河川の水辺に生え、成長すれば2mくらいの高さになる。太い新芽はマコモダケと称して食べられる。『古来、マコモは神聖なモノとされ、出雲大社のしめ縄、日本酒の酒樽のこも被り、お盆の際のお供えをのせる盆ござ、などはマコモでできている。』(『』内は「株式会社マコモ」のHPより引用)

    マコモ(画像はwikipediaより)
    Water_bamboo
    葦(アシ/ヨシ)も水辺の植物だがマコモとは葉の長さと葉の付き方が違う
      (画像はwikipediaより)
    plant-asi

    ◎真菰(マコモ)で納豆を作る
    A)マコモの葉の乾燥チップと大豆を混ぜて作る
    「大和ファーム」(山梨県北杜市)は、一般家庭でも作ることができるように「レシピ付きマコモ納豆セット」を販売している。その内容は、乾燥マコモの葉のチップ10グラム+大豆100グラム+レシピ。

    この会社は、健康を考えて、商品の材料は全て“無農薬、化学肥料不使用、日本在来(=遺伝子組み換えでない)種の使用”をモットーにしているので、農薬の付いた稲ワラを使わずに自家栽培のマコモとそれに自然付着している納豆菌を使い、大豆も「借金なし大豆」という埼玉県の秩父地方で大正時代から作られている在来種を使っている。出来上がりは“立派な糸をひく納豆”

    「レシピ付きマコモ納豆セット」2700円(税込)
    makomonattou-y

    B)マコモの葉の粉末に納豆菌を追加して大豆と混ぜて作る
    「素輪花(そわか)」(三重県四日市市)は、同県菰野(こもの)町産のマコモの葉の粉末に納豆菌を追加して、やはり同町産の大豆「ふくゆたか」と混ぜて発酵させた「まこも納豆」を販売。
    「まこも納豆」40グラム3パック 198円(税別)
    makomo-nattou-p
    「まこも納豆」中身(やや緑のマコモ粉末が見える)
    makomo-nattou

    ◎ススキで納豆をつくる
    一般の人が納豆の自作を試みようとすると、稲ワラよりも比較的に入手しやすいススキが選ばれる。そのためにネット上では“ススキを使った納豆作り” の紹介が沢山見られます。以下にその一例を引用します(ブログ「オトコ中村の楽しい毎日」より)

    ①枯れススキならそのまま、青い葉のススキなら刈った後に枯らしたものを用意。
    karesusuki
    ②ススキを10分くらい煮沸(雑菌は死んでも納豆菌の胞子は100度では死なない)
    ③ポリエチレン製などの適当な容器に適当な長さに切ったススキを底に敷き詰め、その上に煮た大豆を敷き詰め、またその上にススキを敷き詰める。
    susuki-daizu
    ④大きな発泡スチロール製ボックスに50度くらいのお湯をはり、その中に先の容器を浮かべる。
    iyoiyohakkou
    発酵には酸素も必要なのでススキと大豆が入った容器の蓋は少しあけておき、外側の大きなボックスの蓋は保温維持のために閉めておく。(発酵のためには中身を40~45度くらいに維持する)
    ⑤約1日半で納豆らしくなるが、アンモニア臭を消すためにも冷蔵庫に入れてさらに2日間置いて完成。
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    ススキの爽やかな香りも加わっておいしい。
    dekiagari2

    ◎出刃包丁を突き刺して作る納豆?!
    食物史研究家の永山久夫氏の著書「なっとうの神秘」には氏が日本中を踏査して得られた“各地の納豆の伝統的な作り方”が50例くらい紹介されているが、中には科学的根拠はないものの、より上手においしく出来上がることを願う思いが込められている方法もあります。例えば・・

    ①「出刃なっとう」
    山形県の出羽三山のふもとで作られていた納豆で、煮大豆を熱いうちにワラづとに詰めたものを10本くらい束ねてワラくずで包み、それを更にムシロで包み、その両端を縛りあげたら納屋などの天井に吊り下げる。その際に胴体の真ん中に出刃包丁を突き立てておく。その理由を村のお婆さんが語るには・・「納豆作りのコツは、ワラづとに汗をかかせることだ。出刃包丁を突きつけてみろ、人間だってびっくりして汗さかくだろ、納豆だっておっかねーからジワジワッと汗かくだ。そこで丈夫な糸を引くいい納豆ができるわげだ。」
    IMG_20201122_0002 (2)

    ②「姫なっとう」
    福島県で今も残る作り方で、ワラづとに詰め込む煮大豆の真ん中に、ワラを簡単に結んで作った“お姫様”を入れておくもの。古老が語るには・・「ワラのお姫様を煮豆の“むこ殿”に抱かせるわげだ。温けえワラ床で一晩寝れば、ただの煮豆は粘っこい糸をひくようになって、お姫様の初床で納豆も上出来だっぺよ。」・・しかしこの方法は実は理にかなっていて、通常は煮豆をワラづとで外から包むのだが、それに加えて煮豆の中にもワラを入れて発酵をより効率化しているわけだ。呼び名は違うが同様の納豆製法は岩手、山形、茨城、千葉など各県にもある。
    IMG_20201122_0001 (2)
    ※上記①、②は画像とも永山久夫氏著「なっとうの神秘」より抜粋引用ですが、「姫なっとう」の“姫”とは、男女の「姫始め」の場合の“姫”のニュアンスですね。


    ◎枯葉発酵熱で納豆発酵用の保温
    煮大豆発酵用の保温も“自然の力”利用する方法で、テレビ番組「所さんの目がテン」(日本テレビ系列:2020年5月31日放送)で紹介したもの。その手順は・・

    ①大型の発泡スチロールボックスに枯葉を敷き詰め、その上に米ぬか(窒素が豊富)をまく。
    これによって発酵促進されて温度が上がる。
    kareha-hoon1 (2)
    ②その上にビニールシートなどを敷いて、その上に煮大豆が入ったワラづとを並べ、蓋をして保温。
    これでボックス内40度以上が得られて、結果は立派な糸をひく美味しい納豆ができた。
    kareha-hoon2 (2)
    ↑画像は「所さんの目がテン」より引用

    ◎ヨーグルトメーカー使えば簡単に納豆出来る!
    ここまで述べてきましたらお分かりのように、最も面倒なのが発酵時の温度維持管理。自作派の方は、電気コタツや電気足温器などを使ったりして苦心しています。理想的には発酵開始時と発酵終盤時には温度を変える必要があるそうですが、そこまでしなくとも家庭で簡単に納豆が作れるのが“納豆用の発酵温度が設定できるヨーグルトメーカー”を使う方法。ヨーグルトメーカーのパイオニアである「タニカ電器」(岐阜県多治見市)の「ヨーグルティアS」を使えばヨーグルトだけではなく納豆も簡単にできるということで、同社お勧めの方法が公開されています。(1分間の動画説明付き)
    作り方動画→自家製・納豆の作り方|すばる屋 (subaruya.com)

    ヨーグルティアS(同社HPより)
    tanika-stanika-s2

    ここでは少量の納豆そのものを納豆菌の供給用に使っていますが、代わりにススキの葉を使ってみるのも面白いのではないでしょうか。
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    飛話:「真菰(マコモ)」という言葉を聞くと、私は真っ先に頭に浮かぶのが石原裕次郎と浅丘ルリ子が主演した映画「夕陽の丘」(1964年公開、監督:松尾昭典)の同名の主題歌(5番ある内の3番)の歌詞で「真菰の葦は風にゆれ 落ち葉くるくる水に舞う ・・」というのですが、今考えると真菰と葦が同一視されているようで変です。
    「夕陽の丘」主題歌→https://www.youtube.com/watch?v=CYSKRnBLOO0

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    今回は、過去に発信しましたブログの内容に補足あるいは追加する情報です。これらは適宜、過去のブログ内容に後付けで挿入します。

    ◎スーパー楕円の印鑑登場!
    以前にスーパー楕円の紹介とその特長、応用例、そしてスーパー楕円を応用する提案をしました。

    【2020.2.14:「陸上競技トラックがスーパー楕円なら好記録出る?!】/【2020.7.7:「スーパー楕円の陸上競技トラック提案に対抗案登場】

    先日(2020.10.16)、株式会社シャチハタ(本社:名古屋市)が第13回シャチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション結果発表を行い、グランプリ(賞金300万円)にスーパー楕円型印鑑「Xの2分の5乗+Yの2分の5乗=1」(創作者:石川草太/柳沢大地)が輝いた。
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    審査員は現在日本では著名な喜多俊之、後藤陽次郎、中村勇吾、原研哉、深沢直人の各氏。評価は「美しい印象、持ちやすく押しやすい形状、丸印に比べれば真っすぐ押しやすい」など。世は押印廃止の流れの最中にありますが、どのように活かせるのでしょうか。

    ◎小津監督が岩下志麻演技ダメ出し100回超した結果のシーン
    以前に、小津安二郎監督のこだわり(水影、徹底した演技要求など)をとりあげました。【2020.7.26:「小津安二郎のこだわり(2)】
    映画「秋刀魚の味」撮影時に岩下志麻が“悲しみに沈みながら巻き尺を指に巻いたり戻したりを繰り返す動作”に対して小津監督がダメ出し100回以上出して、やっとOkが出たシーン画像を追加します。
    NHKテレビ「小津安二郎 日常というドラマ」より引用
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    小津安二郎に限らず、名監督たちのこだわりは数々語られています。例えば黒澤明監督で有名なのは、映画「天国と地獄」で“身代金を詰め込んだケース(これも有名な「吉田カバン」に特注して作ったもの)をかかえた三船敏郎を乗せた「特急こだま(新幹線ではない)」が酒匂川の鉄橋に差し掛かる際に画面に入る民家の2階部分が邪魔であるとして、交渉の末に撮影当日だけのために2階だけを解体した”こと。(撮影終了後に復元)
    東宝DVDより引用
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    また、黒澤監督は映画「羅生門」では、ただ一つのオープンセットである“半分朽ちた羅生門”を間口33m、奥行き22m、高さ20mの大きさに作り上げて普通のセットの何十倍もの製作費を費やしている。

    スタンリー・キューブリック監督のこだわりの一例は、映画「バリー・リンドン」(私は同監督作品でまともに観たのはこの映画と「2001年宇宙の旅」だけなのですが)では、18世紀欧州の登場人物の衣装については徹底的に事実にこだわって当時を描いた絵画を数千枚も研究して再現したものを使った。
    「バリー・リンドン」の1シーン
     NHKテレビ「キューブリックがキューブリックを語る」より引用
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    氏いわく「従来の時代物のシーンは事実とは異なる明るさの中の撮影で、これはウソくさいものだ」というわけで、この映画はロウソクの光と自然光だけで撮影された。
    「バリー・リンドン」の1シーン
     NHKテレビ「キューブリックがキューブリックを語る」より引用
    barry-rindon1 (2)

    チャップリンの映画監督としての完全主義的こだわりの例は・・『わずか数秒のシーンを何百回も撮り直した。特に「街の灯」における花売り娘との3分ほどのシーン撮影には、342回のNGによって368日が費やされて結局この映画製作総日数は534日にもなった。』(『』内はウキペディアより)
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    その他、ナチスドイツ時代のレニ・リーフェンシュタール監督のこだわりもありますが、またの機会に・・

    ◎山口百恵が生まれた病院の院長夫妻写真
    【2019.7.26:「山口百恵の出生地 本当は東京都豊島区 決定版」】で百恵を“とりあげた”と証言した「西武診療所」の院長夫妻の写真を、私は「豊島区史」という本の中で見ていたのですが、全く同じ写真が「百恵ちゃん大好き親父サーファーボバチャンのブログ」の中で使われていたので(”親写真”がどこに在るのかわかりませんが)引用させていただきます。
    夫妻の後ろに”百恵が生まれた"西武診療所の看板が見られます
    seibusinryousyo

    ◎文芸モノ映画化本数多いのは「青い山脈」も
    山口百恵の項でも述べましたように、文芸モノ映画化では「伊豆の踊子」6回、「潮騒」5回の例があるとしましたが、「青い山脈」も5回ありました。

    ①1949年 原節子、杉葉子、池部良 監督:今井正(正・続)
    ②1957年 司葉子、雪村いづみ、久保明 監督:杉林宗恵(正・続)
    ③1963年 吉永小百合、芦川いづみ、浜田光夫 監督:西河克己
    ④1975年 片平なぎさ、中野良子、三浦友和 監督:河崎義祐
    ⑤1988年 柏原芳恵、工藤夕貴、野々村真 監督:斎藤耕一

    これで、
    「伊豆の踊子」「潮騒」「青い山脈」の映画3本すべてに出演したのは吉永小百合と三浦友和
    ということになります
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    ◎トヨタのクルマとパナソニックの石油暖房機のリコール
    先日(2020年)10月28日、トヨタ自動車は”燃料ポンプ内に不具合が生じて、走行中にエンジン停止を招く恐れあり”として2013~2019年製造の39車種、21万台の”追加”リコールを国土交通省に届け出た。同日に米国で152万台の追加リコールも発表。これで全世界でのリコール対象は584万台になった。この不具合による事故と被害が実際にどの程度あったのか知りませんが、例えば”高速道路走行中に突然エンジン停止して車線中央で停車してしまって追突されたり、踏切内で停車してしまい電車が衝突などして最悪は死亡事故”などのケースも考えられ、山奥でエンストも困る。
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    一方、家電のパナソニックはFF式石油暖房機の使用部品の経年劣化などによる一酸化炭素漏れによる死者や中毒患者が2005年1月から出始めたことにより、1985~1992年製造品25種の計15万台強のリコールを2005年4月から15年経過した現在もまだ継続しています。 (同社は他にも電気カーペットなどもリコール中)

    ◎両社の対応の中身は・・
    トヨタの場合:今回取り上げたリコールでの具体的処理詳細は把握していませんが、かつて我が家で所有したトヨタのワンボックス車「ライトエース」のリコールになった時の場合と、お隣宅で現在所有している「プリウス」が最近リコールされた場合を比較したら、どちらも同様で変わっていない。その事例に基づけば・・処理内容は、まず新聞上などで公表され、対象車種所有者には通知ハガキが送付される。文面は”当該車種の○○の不具合により、△△の恐れがあり、無償で部品交換(又は修理)するので、近くの(所有車種取り扱い)ディーラーにクルマを持ち込んで下さい”というような内容。

    パナソニックのFF式石油暖房機の場合:死亡事故が確認されてリコールが発表され、部品交換を開始したが、その進捗が思わしくない中で、更なる事故が発生したため、対象機種を5万円で引き取ることにして再度告知の徹底をはかった。2005年12月の約一か月はテレビ・ラジオのCMをすべて”お詫びとリコールの告知”に差し替えて流し、2006年2月からは全国4900万世帯と宿泊施設1100万の計6000万世帯に日本郵便の”宛先無しで、つまり不特定先に配達する「タウンメール」”で告知文を配布。その後は現在まで新聞折り込みチラシの配布を時々行っている。対象機種の引き取りなどの対応はパナソニックや関連社の社員がその機種保有宅に出向いて処理。
    つい先日も新聞折り込みの告知チラシが配布された。
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    ◎リコール処理後の顧客満足を得られるか?
    今回取り上げたトヨタとパナソニックの事例はf”当該製品の不具合の性格とそれによる被害の程度”によって単純に比較はできないが、私が注目するのは”リコール処理を受けた人たちが、その処理に対して、ひいてはその企業に対してどのような感情をもち、評価をするか”です。(ここでは”死亡事故”に対しての対応は別にします)

    トヨタに限らないとは思いますが、クルマのリコールに際しては”当該車の所有者が自らディーラーにクルマを持ち込んで、そこの修理部門で部品交換・修理する時間は待つ”ということになり、トヨタ側からの費用請求は無いが、クルマ所有者側は”リコールがなければ本来は発生しないコスト負担”をすることになる。

    具体的には、自宅(クルマの所在地)からディーラーまで走行の往復ガソリン代(又は電気代)がかかり、”クルマを運び込むための準備時間”と”往復走行時間”と”交換・修理終了までの待ち時間”がかかる。時間もコストになることから、我が家のライトエースのリコール時のコスト計算すると、自宅からディーラーまで往復30キロ、準備時間・往復走行時間・修理待ち時間の合計100分で計算すると、ガソリン代約350円、時間コスト代(控えめに平均最低賃金1000円/時をあてはめて)約1660円、総合計約2000円となります。このコスト代はもっとかかる所有者もあるでしょう。

    さてこの実情をクルマメーカーはどう考えているのでしょうか。問題はクルマ所有者側のコスト負担だけではなく、自分の体を使ってクルマを運転していかなければならないなど余計な面倒を強いられることへの不満・怒りの感情を生じることであり、このままでは「顧客満足(CS=カスタマー・サティスファクション)」ではなく「顧客不満足」ということになります。

    パナソニックの場合は今回のリコール対象機種がいかなる状態であっても一律5万円で引き取る。すでに製造後25年以上経過しているので、この引き取り額で、しかも機器を持って行ってくれるから十分に「顧客満足」になるでしょう。(死亡事故発生間もなく同社は石油燃焼関連機器製造から撤退していて、当該機器の販売価格がつかめないが、現在他社で製造販売しているFF式石油暖房機の価格は6万円台~24万円台)
      
    もともとパナソニックは旧松下電器の時代から、何か故障などによる事故や損害を生じさせた場合に、その事後処理には高額な費用をかけてでも修復するなどの対処で、顧客満足以上の“顧客が抱くであろう修復レベルを凌駕するほどの処置をする”と言われ、私が知る例では“あるお宅で使用中の石油暖房機から灯油が漏れたかで床にシミをつくってしまったが(当時)松下電器側は、その部屋の床を全て新品に張り替えて対応した”

    さて、クルマのリコールでのクルマ所有者側のコスト負担による“顧客不満足”に対してのメーカー側の態度はどうなのか?金額の多少の問題ではないが、例えば(文字通り)「御車代」として1件当たり3000円を出すとすれば、今回のトヨタ車のリコール総数584万台×3千円=175億2千万円。勿論、部品交換自体のコストが別途かかりますが、トヨタは年間売り上げ約29兆9300億円、営業利益約2兆4400億円、経常利益約2兆5500億円(2020年3月期)。この状態からみて「おクルマ代」の負担ぐらいいかがだろうか。

    一方、パナソニックのFF式暖房機リコール対応に費やした今までの金額は200億円超とも言われています。(←このコスト算出の内訳も不明だが)ちなみに同社の年間売り上げ約7兆4900億円、営業利益約2900億円、経常利益も約2900億円(2020年3月期)。パナソニック社はこのFF式暖房機事故発生には同社ブランド評価の失墜の危機意識を社長以下の全社員が共有した結果の動きと見られ、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献しようにも “会社あってのものだね”であり、先ずは会社自身の存続の持続可能性が必要なわけです。
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