徒然G3(ツレヅレジイサン)日話秘話飛話

兼好法師ならぬ健康欲しい私がつれづれなるままに お伝えしたいこと綴ります。 時には秘話もあり!

    ジャンルは不特定で硬軟織り交ぜながら 皆様に何かお役に立てば幸いです

    2020年02月

    昨2019年1月に千葉県野田市の栗原心愛(みあ)さん(10才)が

    父親から虐待されて死亡したとされる事件が起き その裁判員裁判が今年2月21日に行われました その際に父親が撮影して残っていた“心愛さんが泣きさけぶ動画“を見た裁判員が耐え兼ねて泣いてしまい  一時休廷したそうです

    miatyan (2) 心愛(みあ)さん
    とにかく“子供は宝” 山上憶良が詠んだ有名な歌にもあります・ ・「銀(しろがね)も金(くがね)も玉も 何せむに勝(まさ)れる宝 子に及(し)かめやも」・・子は金銀宝石も及ばないほどの宝だ! というわけで 今回は“大切な子供”にかかわるお話3題

    ◎名曲「パパと踊ろうよ」は必聴モノ!

    この曲は題名通り 小さな女の子を相手にパパが優しく語りかけて踊りにさそい 女の子の笑い声といっしょに楽しく踊る様を描いています これを聴けば理屈無しに 可愛い子供像が浮かび ほのぼのとしたムードに包まれます ただし この曲は世界中で何人かが歌っているようですが 決定版は“アンドレ・クラヴォー”が女の子と歌っているものでしょう 元は米国の歌ですが これを1956年にフランス語で歌ったので いっそうやわらかな感じとなって 世界的にヒットして日本でも当時はラジオからよく流れたものです 現在は 例によってYouTubeで聴けます→パパ

    dans-with-papa←宇藤カザンさんのHPより引用

    (詳細は「宇藤カザンのシャンソン日記」↓参照ください)

    http://kazanuto.blog59.fc2.com/blog-entry-1110.html

    世界中の親たちが この曲を聴いてさえいれば 子への虐待など 無くなることでしょう 心愛さんの父親も聴いていたら・・

    ◎繰り返される“園バス発車時の幼児死亡事故”

    この事故は 保育園や幼稚園のバスの発着場所に園児を送り迎えするために来た親が連れてきたか または知らぬ間に付いてきてしまった“園児そのものではなく その下の幼児”が親の気づかぬ間に園バスの前に立ってしまって それに運転手も気づかずに発車して その幼児が下敷きになり死亡するもので この事故はつい最近も発生 私の息子が通った園でも昔に発生していますし 日本各地で発生しています 事故原因は明らかに運転手と親の“不注意”という言葉に尽きるのですが両者とも 現場では園児のバスへの乗降のみに注意が集中していることがいけません 大切な宝の子供が失われることのないように社会的にも注意喚起徹底したいものです

    ◎“子捨て”の現場を見た私

    それは今から40数年前のこと 兵庫県姫路市のある神社に我が幼子を連れて夫婦でお参りした際 衝撃的シーンに遭遇しました それは 神社本殿に向かうためのコンクリート製階段が数段あるその中ほどに布に包まれた乳児が置かれているのです これは明らかに誰かに拾って欲しい その子を(自分では行けないので)警察にでも届けて欲しい という目的であることは明白なのですが 私は「はて どうしたものか」と一瞬考えましたが ふと階段横の物陰に隠れる体勢ながらも じっとこちらを見ている やつれたような若い女性に気が付きました 歳をとった今の私ならすぐにその女性に説教して考えを改めさせたのですが 当時はその力も度胸もなく当方も乳児をかかえていて しかも時間も無かったので 誰か他の人にまかせようと考えて そのままお参りを済ませ 再びその階段にさしかかってもまだ乳児はそのままでした その間に数人の参拝者が階段を通っていたにもかかわらずでした 世間は甘くないぞとも感じたものの 私たちは非常に気になりながら 次の予定地に向かいましたが その後あの親子はどうなったのでしょうか 現在は救済システムも向上していますが とにかく“宝である子供”を大切に!

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    ◎ロータリー交差点で人身事故半減
    昨(2019)年11月の朝日新聞に次のような内容の記事が掲載されました・・“信号機の無い「環状交差点」(ラウンドアバウト)を導入した全国87カ所では 人身事故がほぼ半減する効果が出ていることを警察庁が公表している 
    ただしこの「環状交差点」形式は交通量や歩行者が少ない郊外の生活道路や市街地の裏道  高速道路の出口に適するもので これ以外の地では渋滞が起きる”
    ※上記で「環状交差点」と称しているものは一般には「ロータリー」と呼ばれているものでしょう
    この「ロータリー」形式で人身事故が減る理由の一つは“クルマの右折(クルマ右側通行国では左折)が無いから”であることはクルマを運転する方なら理解できることでしょう(長くなるので理由説明は省略)
    新聞記事に添付の説明図では円形のロータリーでしたが 従来 実際の「ロータリー」特に駅前ロータリーはその形状が“円形”ではなく “円形を少し潰してやや細長くなっている形”のほうが多いように思います そこで想起されるのが「スーパー楕円」という形です

    ◎スーパー楕円とは 
    一見すると 長方形の四つの角が大きなアールになっているような形なのですが 本当は楕円形の一種であり ただし“楕円を描くための数式の中で《ある数字》を当てはめてできる楕円“のことを示します
    一般的な楕円の数式は・・
    IMG_20200213_0001 (2)
    下の図でaは長軸の半分 bは短軸の半分にあたり  a>b>0の場合でべき数が2以上が楕円 べき数の数字が大きくなるほど 長方形に近づく a=bのときは円になる
    super-daen -g(2).JPG
    図は「なかけんの数学ノート」
    https://math.nakaken88.com/textbook/basic-ellipse-circle-equation/より引用

    このような楕円の中で上記数式内のべき数を“2.5”にした場合にできるのがスーパー楕円です つまり前出の式で2乗となっているのを2.5乗にするカタチです その実際のかたちは・・
    これを応用したテーブル ホットプレート 照明器具 土鍋  マーガリン(ファットスプレッド)容器 など 以下の写真に見られるようなものです このスーパー楕円は一般的な楕円よりは柔らかな感じをもつという視覚的効果ばかりでなく 機能的な効用があります
    ◎テーブル:この形状ではカドらしいカドがないので 同じ縦・横の長さでも 長方形のテーブルよりも多くの人が囲める また直線部分も無いので着席の各人はすべての顔が互いに見えやすい さらに
    円形テーブルのように 室内・店内の中でデッドスペースが多く発生することもないので “スーパー楕円テーブル採用のレストランや宴会場などは席数を増やすことができる”
    super-d-table2 (2)
    フリッツハンセン社製↑↓
    super-d-table3
     ↑カドが無くやわらか感
    このテーブルのオリジナルデザインは・・スーパー楕円発見者であるピート・ハイン(後述)と他2名の計3人によるもので 現在は“ジェネリック”モノが多数販売されています 私は過去に2回デンマークに行ったことがありますが さすがにスーパー楕円の発祥地 このカタチのテーブルは いたるところで目にしました
    ◎ホットプレート:電気や調理器のメーカー各社はスーパー楕円または それに近い形状モノを主流にしている ホットプレートが市場に登場した初期に各社が採用した円形は 家庭で多数派の長方形のテーブル上ではスペースや使い勝手の面で都合悪かったものです
    hot-plate (2)
                ホットプレート(象印)
    ◎照明器具:縦断面がスーパー楕円 ピート・ハイン亡き後に親族が持つ“ピート・ハイン”ブランドの製品
    super-d-light (2)
    ◎キャセロール土鍋:これをデザインした井藤隆志氏によれば 「厚生労働省の予測では 2000年以降は一人世帯と二人世帯を合わせると全世帯の5割を超えるそうで これからは少人数用の手ごろな大きさで 火にかけてもテーブルにだしても収まりのよい形状としてスーパー楕円を採用した」とのこと
    super-d-donabe (2)
    写真は 井藤氏のpdweb.jp/column/goddesign/g1903.shtml より引用
    ◎マーガリン(ファットスプレッド)容器

    super-daen (2)

    ◎ロータリーにスーパー楕円が適する理由
    そもそもスーパー楕円の効用を発見して世に広めたのが デンマークの数学者・建築家・詩人であったピート・ハイン氏で きっかけは“スウェーデン・ストックホルムの都市計画の一環として セルゲル広場のロータリー交差点でのクルマのスムーズな流れが求められた設計をすることになり ロータリーの形をスーパー楕円にすることで解決した“ものです カドの無いコーナーはクルマのハンドル操作がキツクないことが影響したようです

    ◎陸上競技トラックもスーパー楕円にしたら好記録間違いなし
    競技場本体をスーパー楕円にしている“熊谷陸上競技場”(埼玉県)
    kumagaya-stadium
    その上空からの写真を見て気づきましたが 競技トラックは従来規定通りの“直線と半円をつなげた”かたちですが ここでも前記のストックホルムのロータリー交差点と同様に トラックをスーパー楕円にしたら“走者は従来より楽にコーナーを曲がれて”好記録が出ることは間違いありません これは高校時代に陸上部でトラックをよく走った私が自信をもって言えます 
    写真は さいたま市立浦和南高校の太田敏之先生のページから引用
    www7b.biglobe.ne.jp/~math-tota/su3/superoval.htm

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    ◎新国立競技場の “配慮不足”
    sinkokuritukyogijyo (2)

    写真は[GO-TOKYO] https://www.gotokyo.org/jp/spot/118/index.htmlより引用
    先ごろ完成したとされる新国立競技場の設計にあたっては 日本全国から調達した杉や松などの木材をふんだんに使い 通風や太陽光の利用など環境に優しいことを考慮したそうですが 実際に観客体験した人たちからは いくつかの不満点があげられています その中には「屋根による圧迫感が強すぎる」とか 「座席の色が緑か白なのは気分が沈む」などという やや個人の主観的な意見もありますが 物理的事実として「客席列と列の間隔が狭すぎて 座ると前席背もたれと膝の間は15センチぐらいしかなく 途中退席やトイレに行くためには 歩行困難ゆえに 座っている人たちに立ってもらって通路を作ってもらわないと通れない」という声が多かったそうです
     
    これは大問題で オリンピック・パラリンピックの観客として脚の長い外国人が大勢座ればもっと不満が溢れるでしょうから まさに“おもてなし”でなく(外国人のことを)“思って無し”となるでしょう

    ご存知のようにこの競技場設計にはドタバタがあって 再設計を任された建築家は短期間の中でどこまで神経を配らせることができたのでしょうか

    ◎“デザイン”とは何か
    ここで話はちょっと飛びますが・・“デザイン”とは何でしょうか?
    結論的に申せば・・“デザインとは配慮である”
    そして“設計”は英語では“DESIGN=デザイン”ですから建築設計も配慮が求められます 競技場に関して言えば・・
    環境(周囲との調和 環境負荷の少ない建築資材など)や人間(競技場内の競技者・演者や観客) 建設期間とコストなどに配慮しなければならないことになります

    ここで一般的通念では“デザイン”というと“物の色や形を良くする”ことですが これも結局“配慮”の一部であり “物の色や形を良くする”ことで誰もがそのデザインされたものを見たり あるいは使って気持ちよく感じられるように配慮することです その点で“物の色や形を特異なものにしたり 衝撃を与えるようにして 人によって好感もあれば嫌悪感もあるような作品となる芸術”とは相違します
    人への “配慮”は突き詰めれば“人が気持ち良いと感じさせること”と言えましょう ここでは競技場について考えてみるので “モノ・コト←→人の間の配慮”(以降文中はこれを“配慮”と称します)についてをとりあげます

    この“配慮”ということをするために 近年は いくつかの手法やコンセプトが出現しました 以下にそれらの大まかな内容を出現時期順に並べてみます
    《人間工学》 (エルゴノミクス / ヒューマンファクター)
    モノの使いやすさや見易さなどを科学的に追及するもので 例えば“重いモノを手でぶらさげても指が痛くならない形状の握り部分(把手)”“とっさに見ても見間違えなくはっきり見える文字”“長く座っても疲れない椅”などに結び付くものです
    《バリアフリー》
    生活行動の障害となるもの(バリア)を排除する(フリー)もので 初期のバリアフリーは主に建築・施設と障がい者※や高齢者の間に存在するバリアの排除が主体だった    
    ※近年は [障害者]と表記しない流れ
    現在は対象は増えて “ケガなどで一時的に身体不具合の人”や“妊婦”も・・
    《ユニバーサルデザイン》
    普遍的で あらゆる人が使いやすい わかりやすいように配慮する[ユニバーサルデザイン]の動きが登場 別の言い方では“既存のバリアをフリーするバリアフリーとは異なり 最初からバリアが無いように配慮する“というもの 

    ◎インクルーシヴデザインが究極
    1990年代初頭にインクルーシヴデザイン(inclusive design)なる言葉が提言されました これはバリアフリーやユニバーサルデザインが 基本的には人とモノ(建築 機器 印刷物など)の関係に配慮するものであったが さらに対象を広げて人と人との間や社会に存在する課題も対象とする認識が生ました その結果 障がい者や高齢者に限らず「排除・疎外されている人・社会」を対象とするので・・貧困状態にある人、限界集落に住む人、情報弱者 母子家庭の人 性同一性障害の人 老々介護中の人 介護休職者 海外旅行で英会話ができない人 日本語話せぬ来日外国人(インバウンド) 等々・・あらゆる場と人に及ぶもので このような流れは なにも革新的なものでもなく 人や社会のためのデザイン行為には当然出現してしかるべきもの しかもデザインの結果はモノとしてだけではなく サービスやシステムなど物理的ではないカタチもあることが分かります 
    色々述べましたが・・“インクルーシヴ”とは“全てを含んだ” “包括的な”という意味であり これをデザインすることは“誰でもが楽しみや気持ちよさを感じることの機会均等”に配慮することと言えましょう・・そうすると・・バリアフリーやユニバーサルデザインという手法はすべてインクルーシヴになるための手段であることがわかります

    最近NHKテレビで“体育授業にもインクルーシヴスポーツを導入”している例を放送しました・・それは日本のある高校の体育授業で 健常者と身体障がい者が一緒というより混在してハンドボールや水泳を行うもので この場合のハンドボールでは少しルールを変えて“ゴールを狙う前に必ず1回は(車イスに乗って参加している)障がい者にボールをパスして進める”としています 普通の教室での授業は従来から混在している形態はよくみられますが 体育授業にまで混在するわけで これは前述のように まさに“誰でもが楽しみや気持ちよさを同時に(いっしょに)感じることができるという意味の機会均等”に配慮するインクルーシヴな例と言えましょう
    新国立競技場は環境などへの配慮はしているものの 人への配慮はどうでしょうか 前述の観客席の問題はそれ以前の次元であり 車イス用の席は500用意されているそうですが 車イス使用者用トイレやスロープなどバリアフリーな設備は当然のように在るのでしょう ところで・・
    インクルーシヴデザインという言葉が出現した早い時期にその理想的事例として提言されたのは・・
    スタジアムなどの観客席については あるエリアを車イス使用者たちばかりの専用のスペースとして設定するのではなく 車イス使用者用の席と健常者用席は混在できるようにすれば“両者が一緒になって喜び歓声をあげて楽しさが味わえる つまり よりいっそうの一体感や連帯感を得られる”・・というものでした
    このようなインクルーシヴデザインが新国立競技場で実現されれば世界から賞賛されるでしょう  

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